単騎で臨んだ古性優作(35=大阪)が悲願のダービー王に輝いた。大会史上8人目の完全優勝に男泣きした。2着に吉田拓矢が粘り、真杉匠が3着に入った。古性は6年連続でKEIRINグランプリ(GP、12月30日・いわき平)出場を決めた。
日本選手権は、超一流の精鋭たちが100%の調整をして挑む最高峰の舞台。勝った者だけに与えられる「ダービー王」の称号は、競輪選手なら誰もが憧れる。
これまで幾多のタイトルを獲得してきた古性優作にも「ダービーを勝たなければ、真の日本一ではない」という思いがあった。
今年は4人のSS班を有する近畿地区も、次世代の成長が頭打ちになっていた。「まだ自分も近畿の“自力の駒”として数えないといけない」。その思いから、タテ足を徹底的に鍛え直した。「自在」のコメントを封印し、「自力」にこだわった。その先には、どうしても手に入れたいものがあった。
単騎になった決勝。「出し惜しみはしない。しっかり外を踏む」と心に決めて臨んだ。
しかし、展開も自分の動きも、まるで想定外のものになった。赤板過ぎに全開で飛び出した関東勢がうなりを上げて加速する。必死に内を追い上げると、一瞬だけできた関東勢のほころびを見逃さなかった。佐々木悠葵の番手から出ていく吉田拓矢の後ろに割り込み、ゴール線上で勝利を確信した。
「昨年の1年間は本当にふがいなかった。選手を続けたくなくなる時期もあった」。“絶対王者”と呼ばれる男は、全てをささげてこの舞台に備え、そして称号を勝ち取った。安堵(あんど)と歓喜がこみ上げ、大粒の涙があふれ出た。
「全てを使い切った。少し休ませてもらいます」
終わってみれば圧巻の完全優勝。競輪祭を残しグランプリスラムに王手をかけた。その代償に、ボロボロになった王者の翼を5月の風が優しくなでた。【松井律】





















