私を揺さぶる、グランプリ-。12月16日からボートレース住之江で開幕する1年の総決戦、SG「第40回グランプリ」に向けた特別企画。「Road to THE GRAND PRIXキャンペーン」と題した企画の第5弾として、佐藤隆太郎(31=東京)が登場する。今年のボート界を彩った東都のニュースターが成長の過程、SG連続V後の発見を語った。(取材日=11月22日)

   ◇   ◇   ◇

鮮烈だった若松クラシックでのSG初制覇。一気にもぎ取った丸亀オールスターでのSG連続V。今年のボート界を振り返る上で、佐藤の存在は欠かせない。「SGに関して言えば、いいエンジンをしっかり出して、予選も失敗なく走れたことが優勝につながったと思います」。エース機を引いてもSG優勝に縁がないレーサーはいる。エンジン抽選運に恵まれただけではなく、確かな実力がそこにはあった。G1ですら無冠の状態だったが、チャンスが来れば、いつでも、ビッグレースを勝てるだけの技術的な成長を遂げていた。

「SGを取れない人もいる中、1個勝てたことで、自分が取れる方なんだと思えた。2個勝てたことに対し、自分では、それほど大きなことを達成したとは思っていなかったけど、周りの人の反応で、それを感じました」。好事魔多し。SG連続V後、8、10月と立て続けにフライングを切り、F2になった。そんな佐藤を見かねた峰竜太が、こう声をかけたという。「SG2冠は、あと4本(Fを)切ってもいいぐらいの価値があるぞ!」。SG6冠のグランプリレーサーから、大げさ過ぎるほどの激励を受け、大仕事の実感が湧いた。

佐藤はレース後の感情の処理が早い。デビュー直後は、大敗の悔しさを表に出していたが、同支部の斉藤仁の助言で変わった。「どこがどう悪かったのかを反省するのが大事なんじゃないの?」。プロとして、技術向上は永遠のテーマ。その思いが片隅にあったからこそ、先輩のアドバイスがふに落ちた。「大きな着順を取ると、悔しいことは悔しいです。でも、すぐに、失敗した原因を探り、ペラ調整やターンなど、どこが悪かったかを考えます。そこを修正すれば、うまくなって、いい着順を取れるようになる。だから、落ち込むことはないです」。

斉藤仁だけではない。他地区のレーサーにも気づきをもらった。丸亀オールスターの優勝戦当日、食堂で時間を持て余していると、守田俊介から声をかけられた。「オマエの、そのひょうひょうとしているのは、強みだぞ」。守田の夫人・森田太陽さん(引退)は佐藤と同期の115期生。その縁で、以前から言葉を交わすことがあったが、自身の特徴を言われたことは、初めてだった。守田はSG優勝戦1枠で緊張した自身の経験をふまえ、落ち着き払った佐藤に対し、思わず、自身の感情を口にした。佐藤の泰然とした行動、雰囲気は安心感を生み、先輩レーサーの心をも動かす。

現在、フライング休みの身。実戦から遠ざかるが、準備の時間はたっぷりある。「GPのピットにいる自分と、勝っている自分、そのイメージをより強固にしていきたい。フラットな感情で、走れるようにしたいです」。レーサー人生を「更新の繰り返し」と位置付ける佐藤にとって、GP出場もゴールではなく、たとえ、優勝しても、終わりなき旅の途中に過ぎない。初出場V、年間SG3冠が懸かる大舞台で、さらなる、成長を遂げる。