相手5チームは、思ったほど強くなかった。4年前の予選に比べ、日本が弱体化したことが目につく。メンバーがそれほど変わらず、4つ年を取っている。

 日本はなぜ弱くなった? 最も重い責任は監督にある。選手を適材適所で起用していない。初戦のUAE戦で代表経験のない大島をボランチ起用し、途中から原口をボランチに入れた。さらに最後は吉田を最前線に上げて、パワープレーに転じるなど、選手招集の過程から試合マネジメントができなかった。

 オーストラリア戦は、今まで例がないほどの悪い試合だった。得点してから急に守備に転じ、相手に余裕を与えた。戦い方のバランスが悪く、アウェーで拾える試合を逃した。イラク戦でも同じことが言える。縦一辺倒で、相手を楽にさせ、自ら苦戦を強いられた。

 オマーン戦で可能性を見せた斎藤と小林を、サウジ戦2-0の時点で出場させれば、来年3月からの後半戦への貯金ができたはず。指揮官に、来年に備える余裕がなかったのも寂しい。本田の外し方も下手で、功労者に選択肢を与えるべきだった。例えば長谷部と競争させ、本人がその位置での起用を嫌がったらスタメンから外すなど、やり方はいくらでもある。

 希望はある。サウジ戦後、原口と大迫の言葉がたくましかった。得点した原口は「アジアのレベルが高くないから。ブンデスなら得点できなかった」。最前線で大きな可能性を見せた大迫は「FWは得点しないとブンデスでは評価されない」と反省した。満足した指揮官とは対照的に、選手たちが向上心を持っていることが救いだ。(日刊スポーツ評論家)