東京オリンピック(五輪)でのMF久保建英(20=レアル・マドリード)は、簡単には倒れない。1次リーグ3試合、計225分に出場し、日本五輪史上初となる3試合連続ゴール。相手のマークが集中するトップ下でプレーしながらファウルを受ける回数が少なく、被ファウル数はわずか3回。1試合90分平均は1・20回にとどまる。得点ランク首位の5ゴールを挙げているブラジルFWリシャルリソンの4・46回(242分12回)と比べ、極端に少なくなっている。

昨シーズンは期限付き移籍先のスペイン1部ビリャレアルとヘタフェでプレーし、リーグ戦通算31試合(先発10試合)1093分に出場した。被ファウル数は33回、90分平均2・72回と相手に倒される場面も目立った。久保が相手にとって危険な存在だったことの証しではあるが、結局は1人でドリブルを仕掛けてもすぐにつぶされ、1得点1アシストの成績しか残すことができなかった。

それが今大会の久保はMF堂安律らと連係、連動。球離れも早い印象で、ファウルを受けて倒されるシーンがほとんどない。本人は3試合連続ゴールの要因として「試合前の準備とチームメートとの連係。自分の動きだったり、彼らの動きを把握した中で連係、連動というところで最後、たまたま自分が決めているだけ」と話していた。チームとして攻撃が機能しているから、久保の被ファウル数も少なくなっているということか。

初戦の南アフリカ戦でのゴールに象徴されるように、ここぞという場面では得意のドリブルを仕掛け、シュート数は1次リーグ終了時点で2番目に多い12本。3得点は今大会3位タイで、日本歴代では00年シドニー五輪のFW高原直泰、12年ロンドン五輪のFW大津祐樹と並び2位につける。味方と連係、連動しながら、自ら積極的にゴールを狙い、銅メダルを獲得した68年メキシコ五輪でFW釜本邦茂がマークした日本五輪史上最多7得点にも迫る勢いだ。


<今大会得点ランキング>

5☆リシャルリソン(ブラジル)

4 ジニャク(フランス)

3☆久保建英(日本)

〃☆李康仁(韓国)

〃☆黄義助(韓国)


<今大会シュート数ランキング>

13 ジニャク(フランス)

12☆久保建英(日本)

〃 アヘ(ドイツ)

11☆黄義助(韓国)

〃☆リシャルリソン(ブラジル)

10☆クニャ(ブラジル)

(☆は準々決勝進出)

(ニッカンスポーツ・コム/サッカーコラム「解析料理」)