MVPは選べない-。今季のアルビレックス新潟は全員サッカーでJ2優勝を飾りました。史上初めて2桁得点者なしでの優勝。松橋力蔵監督(54)は「全員が戦力」と27人をピッチに送り出し、今季リーグ最多20人が得点を決めました。「全員がMVP」かもしれませんが、日刊スポーツでは「アルビレックス新潟 解析料理」の22年総集編として各賞(5人)を選出。今日10日から掲載します。第1回は「チームアシスト王」に輝いたMF伊藤涼太郎(24)です。

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伊藤は42試合全てに出場し、9得点11アシストをマークした。チームに2桁得点者はいなかったが、移籍1年目で2桁アシストを達成。11アシストは熊本MF河原(12回)に次いでリーグ2位タイとなり、得点とアシストの合計である「スコアポイント」はチーム最多の20。総得点73点のうち27・4%に伊藤が直接的に絡んだことになる。

これまで主力選手を引き抜かれることが多かったJ1浦和から完全移籍で加入。徐々に本領を発揮し、隙あらば遠めからでも積極的にミドルシュートを狙った。ペナルティーエリア外から37本のシュートを放って2得点。守りを固める相手に対してはその威力抜群のミドルが効果的だった。

警戒した相手DFは前に寄せる。その背後には新潟にとって有効なスペースが生まれる。すると、今度は伊藤の“一撃必殺”のスルーパス。同本数は今季リーグ最多の118本に達した。

23日の最終節町田戦で見せたスルーパスは秀逸。MF三戸がシュートを打ちやすい位置に通した。この得点シーンのように、伊藤のスルーパスを引き出すFW谷口ら前線の動き出しも、24歳技巧派MFの能力を最大限に引き出したといえる。味方の「アシスト」もあって伊藤が加入1年目でチームアシスト王。来季はJ1で10ゴール以上10アシスト以上が期待される。【石川秀和】