夏が終わり欧州も冬支度です。11月にはワールドカップ(W杯)カタール大会もスタートしますが、リーグ戦や欧州チャンピオンズリーグ(CL)真っ只中。W杯開幕前という雰囲気からは遠いのですが、各選手のコンディションも気になります。

スペインでは250回目の伝統の一戦「エル・クラシコ」が行われました。レアル・マドリードとバルセロナが、同勝ち点のリーグ首位で並んだ状況で迎えるのは歴史上8度目とのこと。さらにバルセロナが復活を果たして勢いを取り戻したからこともあり、大きな盛り上がりを見せました。そのバルセロナがミッドウイークにCLでまさかのホームで引き分けに終わり、次戦でバイエルン・ミュンヘンにも負けたことでグループリーグ敗退となりました。同時にアトレティコ・マドリード、セビージャもグループリーグでは上位2チームには入ることができず、CLにおけるスペイン勢は気が付けばレアル・マドリードのみとなってしまいました。

ファイナンス面からすれば、当然ですがどのチームも上位進出を目指していたわけで、とは言ってもグループリーグだけでもその“稼ぎ“は非常に大きいものです。出場給だけでも1560万ユーロ(22億6200万円)が全チームに配分され、勝利給だけでなくプール金からの分配など積み重なることで非常に大きな賞金を手にすることができます。

今回のバルセロナにとっては、決勝トーナメントでの賞金が手にできなかったことは非常に大きいものです。今大会のCLはベスト16に進出すると約960万ユーロ(約14億円)、準々決勝に進出すると1060万ユーロ(約16億円)の勝利給報酬が得られることから、バルセロナは約2020万ユーロ(約30億円)近くは確実に手にできるものとして予算に組み込んでいたようです(ここにマーケットプール金が加算される)。この見込んでいた勝利給がこの敗戦で全て水の泡と消えたことになることを考えると、首脳陣は頭を抱えていることでしょう。

一方で、このバルセロナを中心としたスペイン勢が1チームを残して敗退してしまったことにより、大きなチャンスが巡ってきているチームもあるようです。当然唯一残っているレアル・マドリードになるわけですが、このレアル・マドリードが一獲千金の機会を得ているようです。

CLは大きく2種類の賞金で構成されており、

(1)勝利給

(2)マーケットプール(観客動員数や放映権などの総合的に係数計算される)-最大6億ユーロ/約875億円))-

このマーケットプール金は国ごとに配分され、その中でその国の参加チームに分けられるというもののようですが、今回3チームが敗退してしまったことで、その分配係数に変化が生まれており、現在の時点でレアル・マドリードに860万ユーロ(約12億5000万円)が加算されるようです。

今シーズン前、資金集めと選手集めを頑張ったバルセロナでしたが、結局のところ、ここぞという場面で賞金を手にする勝利を手にすることができず、その手にするべき賞金がまさかの対抗馬レアル・マドリードの懐に入ってしまうという状況になっており、悪循環からはまだ抜け出せていない状況のように見えます。監督就任以来32試合の勝率を比較すると、前監督のクーマンが65%だったの対しチャビは53%となっており、ピッチ上の成績をみても復活手前といった感じです。

一刻も早く負のスパイラルを抜け出して欲しいものです。

【酒井浩之】(ニッカンスポーツ・コム/サッカーコラム「フットボール金融論」)