川崎フロンターレのMF阿部浩之(28)のある行動が、会場のサポーターをほっこりさせている。今季、ガンバ大阪から加入し現在、自己シーズン最多の8得点を挙げ、得点ランクもチームメートのFW小林悠(29)に続き3位。阿部は得点して勝った試合の後、会場の警備員に「コアラのマーチ」など、お菓子をプレゼントしているのだ。

 GK新井章太(28)と試合後に「点を取って勝った時に、何をしようか」と雑談していた際「お菓子を渡したらどうか」というアイデアが出たことから始まった。最初は、選手からの思わぬサービス? に警備員が戸惑っていたそうだが、阿部が強引に渡してスタートし、今やサポーターがSNSなどで話題にするほど、すっかり“恒例行事”として定着した。阿部は「最初は警備員さんから受け取れません、と拒否されたような気もする…」と苦笑する。

 阿部の移籍初ゴールは4月21日のホーム清水戦だった。5月5日の新潟戦で、小林のアシストで今季2点目を決め「やっとチームになじめた気がする」と本音を漏らした。チームメートと得点のイメージを共有した手応えをつかんだ一戦だったという。新潟戦から阿部は9戦6発と波に乗った。

 ちなみに、阿部はFW小林のアシストで3得点。そして小林は阿部のアシストで4得点している。「アシストはアシストでお返し」とばかりにお互い得点を取り合う関係に、MF中村憲剛(36)も「ステキ」と目を細める。阿部は「悠君(小林)とはまだ、出会って半年の友だちですが…」と笑わせ「僕が外に行った時、悠君が中に入るとか、ちょっとずつ自由に下がったりできるようになってきた」と話す。

 ガンバ大阪時代から、阿部が得点した試合は不敗だ。等々力でお菓子プレゼントのパフォーマンスが見られる確率も高いはず。記者が「サポーターの方も、プレゼントのシーンを楽しんでるようですよ」と問うと「じゃ、やめよっかな」とニヤリ。あまのじゃくコメントが返ってきたが、内心はうれしいはず…と勝手に解釈。後半戦も、試合後の“お菓子プレゼント”をしっかりスタジアムでチェックしてみては?

 ◆岩田千代巳(いわた・ちよみ) 1972年(昭47)、名古屋市生まれ。菊里高、お茶の水女子大を経て95年、入社。主に文化社会部で芸能、音楽を担当。11年11月、静岡支局に異動し初のスポーツの現場に。13年1月から(当時)J1磐田を担当。15年5月、スポーツ部に異動し主に川崎F、大宮担当。