サガン鳥栖の竹原稔社長(56)が10月1日に来季続投を明かしたイタリア人のマッシモ・フィッカデンティ監督(49)のさらなるチーム力向上に期待したい。

 現在8位ではある。だが9月23日にほぼベストメンバーで戦った浦和と敵地で2-2の引き分け、続く同30日には首位鹿島を1-0で下すなど目指す戦術の浸透は進んでおり、単年契約で3季目の指揮を託した形だ。

 竹原社長は「評価している部分とそうでない部分があるがトータルで評価しています」と言う。そんな中での続投明言。懸念のマイナス面が今後是正されていけば悲願のタイトル奪取も夢ではない。

 今季は、鳥栖の主将も務めた韓国代表MF金民友(27)、元日本代表GK林彰洋(30)、元U-23日本代表MF鎌田大地(21)ら主力が大量に抜け、指揮官は「根本的なベースを作り直さないといけなかった」と振り返る。

 だがクラブが行った史上最大ともいえる大型補強で元日本代表GK権田修一(28)、DF小林祐三(31)、コロンビア代表FWビクトル・イバルボ(27)、元韓国代表FW趙東建(31)らが加入し戦力は充実した。いまだ指揮官が「作業の途中」と言う段階ではある。だが再構築に力を注ぎ8位と踏ん張っている。

 得意のパワープレーを武器に鳥栖で12年から5年連続2ケタ得点しているエースFW豊田陽平(32)が今季いまだ5得点にとどまる一方、機動力のある新戦力のMF原川力(24)や高卒ルーキーFW田川享介(18)が得点を重ねている。新たな攻撃パターンを見いだしてきた手腕も評価されている一因だろう。

 次節10月15日は、ホームに5位C大阪を迎える。フィッカデンティ監督には現在ホーム2連勝中の勢いにも乗り、好采配で難敵撃破に挑んでほしい。そしてJ1残り6戦。来季へつながるベースにつなげてもらいたい。【菊川光一】

 ◆菊川光一(きくかわ・こういち)1968年(昭43)4月14日、福岡市生まれ。福岡大大濠高-西南大卒。93年入社。写真部などを経て現在報道部で主にJリーグなど一般スポーツを担当、プロ野球等のカメラマンも兼務する。スポーツ歴は野球、陸上・中長距離。