J1ジュビロ磐田に新たな戦力が加わった。トルコ1部リーグのコンヤスポルを退団し、完全移籍で加入したDFエレン(27)だ。8月30日に行われた会見では、背番号6のユニホームにも袖を通し、「日本に来られて本当に幸せです。チーム向上のために、精いっぱい頑張っていきたいです」と言った。

エレンはトルコ出身。09年のプロ入りから同国のリーグ一筋で、主に左SBとしてプレーしてきた。国外移籍は初で、「日本では、よりスピードが求められると思う」とも話している。確かにそうだろう。そして、名波浩監督(45)が構築するサッカーに順応する必要があるが、何よりチームになじむことが先決だ。このプロセスをクリアできず、実力を発揮できなかった選手も少なくない。

会見の中では、日本への関心の高さが印象に残った。日本食が好きで、トルコでは天ぷら、すしなどを食べていたという。来日後も、東京・明治神宮を参拝したエピソードも明かした。「日本の文化を学び、トルコの文化も伝えたい。日本とトルコの懸け橋のような役割もできればいいと思う」。この姿勢なら、チームメートとのコミュニケーションも大いに期待できる。

磐田は今季、「トップ5」を目標に掲げている。だが、アクシデント続きだ。昨季6位躍進の原動力になったMFアダイウトン(27)とMFムサエフ(29)が、右膝に全治6カ月の重傷負うなど、主力に長期離脱者が相次いだ。さらに、DFギレルメ(30)が、5月2日の第12節アウェー横浜戦で働いた暴力行為で契約解除になった。それでも、残り10試合で、暫定5位神戸との勝ち点差4。目標達成も狙える位置にいる。

エレンは合流2日目の練習で、正確な左足のクロスからゴールを演出した。トルコでのシーズン終了から約3カ月、公式戦から離れているだけに即出場は難しいが、チームの救世主になる可能性は感じる。私は、その人間力も含めて、エレンに注目している。


◆前田和哉(まえだ・かずや)1982年(昭57)8月16日、静岡市生まれ。小2からサッカーを始め、高校は清水商(現清水桜が丘)に所属。10年入社。一昨年までは高校サッカーを取材し、昨年から磐田担当。

加入会見で笑顔を見せるDFエレン
加入会見で笑顔を見せるDFエレン