平成最後のJリーグ開幕戦が終わった。関西在住のみなさんは金土日と3日間も楽しめた今年の開幕。

J1では注目カードとなった金曜開催のセレッソ大阪-ヴィッセル神戸が4万2221人で最多入場者だった。2番目がガンバ大阪-横浜F・マリノスの2万7064人、J2では京都サンガFC-アルビレックス新潟が1万4069人で最多。会場の収容人数はもちろん違うが、金土日といずれも関西の開催地で動員1位だった。

関西の盛り上がりを感じてもらったところで、今年の開幕戦でデビューした関西出身の2人の選手に注目したい。1人目は東京オリンピック(五輪)世代のC大阪DF舩木翔(20)。左サイドバック(SB)が定位置だが、J1デビューとなった神戸戦は「人生初」という右ウイングバックでフル出場した。慣れない位置でいきなり同サイドで対戦したのは元スペイン代表FWビジャ。世界的スターのクオリティーに圧倒されながらも、結果は無失点に抑えた。「やられまくったけど、後半に修正できた」と手応えを得た。

17年U-20ワールドカップ(W杯)にも出場した東京五輪の主力候補。C大阪下部組織育ちの20歳は「初戦でああいう選手と戦えるのは自分にとってプラス。東京五輪に向かう中でトップスターとマッチアップできた」。スペイン人のロティーナ新監督でなければ、開幕戦でいきなりプレーすることのなかった位置だろう。この日は、同世代のDF初瀬が神戸の左SBでプレー。初瀬はもともと両サイドでき、舩木も両サイドこなせるようになれば東京五輪世代にとってもプラスだ。舩木も「代表でも『あいつは右でもできる』と思ってもらえたやろうし、幅が広がった」とうなずいた。東京五輪まで1年半。舩木の今季の活躍を期待させる日となった。

2人目は京都MF中野克哉(22)。関学大卒の新人で3年時には関西学生リーグ得点王に輝いたレフティーのドリブラーだ。新潟との開幕戦では右FWでフル出場。序盤は「緊張もあった」とかたかったが、チーム最多のシュート3本を放つなど、攻撃の主力を担う可能性を感じさせた。

地元の京都橘高出身で全国高校選手権には3大会連続で出場。1年から主力で、この日一緒にピッチに立った高校時代の先輩のMF仙頭、小屋松とは準優勝(12年度)も経験した。「3人同時に出られて良かった」。高校時代は1年から主力だったが、大学時代は負傷に悩まされ、なかなかピッチに戻ることができなかった。苦悩も知る男が、プロデビュー戦で堂々とプレー。人なつこい性格の22歳は「緊張もしたけど、試合に入ってしまえば、大丈夫。性格的にいいところかな。あとは結果を出さないと」。会場を沸かせる初ゴールは遠くなさそうだ。

注目の2人を挙げたが、実は2人とも奈良県出身。個人的な話だが、私も同郷で私情が入ったコラムになってしまった…。昨季限りで奈良のスター楢崎正剛さんが現役を引退したため、同郷の若手を紹介した。Jリーグの19年シーズンの開幕。また各地で熱戦が繰り広げられる。今年はどんなドラマが待っているのか、楽しみだ。【小杉舞】


◆小杉舞(こすぎ・まい)1990年(平2)6月21日、奈良市生まれ。大阪教育大を卒業し、14年に大阪本社に入社。1年目の同11月から西日本サッカー担当。W杯ロシア大会、アジア杯UAE大会を現地で取材。担当クラブはG大阪や神戸、広島、名古屋、J2京都など。奈良生まれ、奈良育ち、大阪在住のバリバリの関西人。