6年ぶりのJ1復帰の大分トリニータが、2月23日のリーグ初戦で昨季ACL覇者の鹿島を破る大金星を挙げた。今季は6試合を1クールとして勝ち点8ずつを積み上げていく計画。目指す勝ち点45での残留へ最高のスタートを切った。

鹿島戦から松本、磐田、横浜、広島、札幌と続く最初の1クール。勝ち点上積みのカギを握るのは、就任4年目の片野坂知宏監督(47)が「攻撃の時間が相手を上回れば勝つチャンスはある」と、こだわってきた昨季J2最多得点から健在の攻撃面だ。今季はJ1経験豊富な前湘南のFW高山薫(30)や昨季J2で9得点のMF伊藤涼太郎(21)らの加入で厚みが増した。

中でもタイ代表MFティティパン(25)の加入が大きい。豊富な運動量を武器に攻守で広範囲をカバーでき、球際にも強く鋭いタックルでボールを奪取する。来日当初は「ボールをもらって出すスピードが速く、個々のレベルより組織的に戦うところがタイと大きく違う」と言う日本サッカーへの戸惑いもあった。だがアジア杯後の1月下旬に来日以来、「戦術を理解して自分らしくできるようになってきた」と既にチームにフィット。鹿島戦はフル出場しアジア王者撃破に貢献した。

取材では人なつっこい笑顔を見せる。コーヒーが好きで趣味はカフェ巡り。大分でもお気に入りの店で気分転換を図ってきた。今週は将来結婚も視野に入れるガールフレンドがタイから来日予定で、さらにモチベーションは高まっている。タイでは和食を食べる機会が多く、日本での食生活も問題なさそう。

Jリーグ移籍に際し、横浜DFティーラトン(29)や札幌MFチャナティップ(25)から助言をもらい、挑む新天地で「たくさん試合に出られるよう努力して、大分をリーグ10位以内に導きたい」と覚悟を決めている。J1残留への救世主になってみせる。【菊川光一】(ニッカンスポーツ・コム/サッカーコラム「サッカー現場発」)

◆菊川光一(きくかわ・こういち)1968年(昭43)4月14日、福岡市生まれ。福岡大大濠高-西南大卒。93年入社。写真部などを経て現在報道部で主にJリーグなど一般スポーツを担当、プロ野球などのカメラマンも兼務する。スポーツ歴は野球、陸上・中長距離。