ヴィッセル神戸からJ2アビスパ福岡に新加入した東福岡高出身のMF増山朝陽(23)に期待だ。

そう感じさせられたのが1月26日、福岡ユースと行われた今年初めての練習試合だった。20分×4本のうち、3本に右サイドハーフで先発した。

前半2本では、新加入で出場した5人のうちの1人として、4-4-2のシステムでチームが目指す果敢な攻撃参加でけん引。2トップの新加入FWファンマ・デルガド(29)や、元日本代表FW森本貴幸(31)とのコンビネーションで何度も決定機を演出した。

得意とするドリブル突破や相手の裏を突く仕掛けは、キレ抜群。CKの場面では、ゴール前のこぼれ球に瞬時に反応した。惜しくもクロスバーに当たったが、森本のハットトリックにつながった。

「2桁ゴールと2桁アシストが目標。そのためにはスタメンで出続けないといけないので、チーム内の競争で勝ち取りたい」

今季の目標をこう口にする。地元福岡でのプレーも、闘志にさらに火をつけているようで「雰囲気がいい」と、力に変えている。

さらに、この日は前半2本で左サイドハーフとして先発した東福岡の1学年先輩、FW木戸皓貴(24)とも好連係を見せた。

プレースタイルは、高校時代からお互いに知るところ。増山は「こういうプレーをするだろうというのがお互い分かっているので、やりやすい。刺激になっている」と話す。

昨季まで所属した神戸では、元スペイン代表MFアンドレス・イニエスタ(35)から多くを学び、その経験も生かすつもりだ。

「ボールを持った時の周りを使う動きや、ゲームの流れの落ち着かせ方などを学んだ」と言い、スター選手からの助言も、心の支えになっている。

それは「スピードを生かし、行けるところまで遠慮せずに行きなさい」との言葉。プレースタイルに自信を強めてくれたアドバイスだった。

2月8日まで行われている宮崎キャンプでは「どの選手とも100パーセントの力が出せるよう、高い意識で取り組んで行きたい」。16年以来のJ1復帰へ、頼もしい若手が加わった。【菊川光一】(ニッカンスポーツ・コム/サッカーコラム「サッカー現場発」)

◆菊川光一(きくかわ・こういち)1968年(昭43)4月14日、福岡市生まれ。福岡大大濠高-西南大卒。93年入社。写真部などを経て、現在報道部で主にJリーグ、高校野球、ゴルフなどを担当。プロ野球ソフトバンクの担当カメラマンも兼務する“二刀流記者”。スポーツ歴は野球、陸上・中長距離。趣味は英会話。