内田篤人さんの現役ラストマッチとなった23日の鹿島-G大阪戦は、カシマスタジアムでJリーグが定めた「新型コロナウイルス対応ガイドライン」による厳しい制限の下で行われた。
観客上限は5000人と収容人数の1/8で、応援歌などの声を出す行為は一律禁止。スタンド最前列で振る大旗もダメ、太鼓も手拍子もダメで、認められた行為は拍手のほか「横断幕の掲出」のみだった。
試合は後半ロスタイム、内田さんのサイドチェンジを起点に、鹿島に劇的な同点弾が生まれた。引退セレモニー準備のため、内田さんが1度ピッチを退いた後、スタンドには無数の横断幕が掲げられた。
「内田篤人 鹿島魂」
「スタジアムを揺らした魅力的なプレー」
「一緒に歴史をつくろう」
「Gl■ckAufUchi」(シャルケのスローガンで“幸運を祈る”の意味)
「夢を持って駆け上がれ2」
「ありがとう これからも共に」
「日本が、世界が、サッカーを好きになった」
「篤人感動をありがとう」
「篤人これからもともに」
「ありがとう!永遠の2番!」
「俺達の篤人 夢をありがとう 篤人のアントラーズ魂とこれからも常に共に」
「鹿島の誇り 篤人の2を忘れない」
「すてきな時間をありがとう篤人」
「いつかまたカシマで篤人と共に」
「篤人、鹿島への愛情、いつもありがとう もう走らなくていい、これからは俺達と一緒に歩いて行こう」
横断幕は、サポーターが内田さんへのメッセージを伝える唯一の手段だった。セレモニー後に内田さんが場内を1周した際、サポーターはマナーよく、自分の席から拍手を送っていた。本当は最前列まで駆け下り、ねぎらいの言葉のひとつも掛けたかっただろう。クラブが事前に「(リーグが定める超厳戒態勢での試合運営となるため)ピッチ内の内田選手へのプレゼントはご遠慮ください」と呼びかけたこともあって、ルールを犯すサポーターは見受けられなかった。
日本サッカー界の発展に大きく貢献した功労者のラストマッチとしては、少し寂しい気もする。それでも万雷の拍手だけが響くカシマスタジアムは、荘厳な雰囲気だった。【杉山理紗】
※■は(ダイエレシス付きU小文字(小文字Uウムラウト))