J2アルビレックス新潟は27日に行われた今季開幕戦でギラヴァンツ北九州を4-1で破り、白星スタートを切った。攻撃サッカーを掲げるチームは既存メンバーと新加入選手が融合し、次々と相手ゴールに襲いかかった。その中で、ひときわ輝きを放ったのは10年ぶりに復帰したDF千葉和彦(35)。安定した守備に加え、巧みなパスワークで最終ラインから攻撃を組み立てた。前半28分には右CKを頭で合わせ先制点をゲット。新潟ではJ1時代の11年8月6日(対清水エスパルス戦)以来となる「ただいま弾」を奪ったのだ。

そんな活躍を見せた千葉に対し、高校卒業までサッカーを続けていた私はずっと「同じ85年生まれで誕生日が5日違い・プライベートで同じエレベーターに乗ったことがある」という理由だけで勝手に親近感を抱いていた。

迎えた今季開幕前の磐田2次キャンプ。普段はプロ選手の前でサッカーをかじっていたことは言えない(言わない)私だが、「初対面の千葉選手にどうしても顔を覚えてもらいたい」という一心で、お互いが出場した当時の全国選手権の名鑑を取材前にリュックから取り出した。すると千葉は「懐かしい!このときのあだ名は『アフリカマン』だったな~!じゃ、当時の国立を一緒に歩いた仲ですね」と笑顔で応じてくれ、その後の取材も心地いいものが続いた。

経験は豊富。J1通算349試合出場7得点。ACL、クラブW杯にも出場した。それほどの経験があるにもかかわらず「周りに自分の経験を押しつけることはしない。今のチームの雰囲気を崩したくないから」。普段の明るいキャラクターからは想像つかない控えめな言葉だったが、それでも、存在感や影響力はやはりピカイチ。開幕戦ではDF早川とコンビを組み、プロ初先発のGK阿部、新加入のMF高、右SBに入った藤原らを支えた。

次節6日はホーム開幕戦。1月20日の新体制会見で「(ホームスタジアムの)ビッグスワンが僕を呼んでいた!」と復帰理由を叫んだ千葉が、昨季3位のV・ファーレン長崎を相手にどんなプレーを見せてくれるか。同じ85年生まれとして注目したい。【小林忠】

◆小林忠(こばやし・ただし)1985年(昭60)6月26日、新潟県阿賀野市生まれ。小学2年からサッカーを始め、北越高2年時に全国高校選手権出場。保育教諭として阿賀野市内のこども園に12年半勤務した後、19年途中に入社。20年からJ2新潟担当。

(ニッカンスポーツ・コム/サッカーコラム「サッカー現場発」)