ネクスト・オルンガはこの選手? ナイジェリア出身のJ3福島ユナイテッドFWイスマイラ(22)は、“カカ”のニックネームで愛される点取り屋で、来日2年目の昨季は33試合13得点を挙げ、その名をとどろかせた。Jリーグにも順応し、1年目の19試合4得点から飛躍。18~20年まで柏レイソルでプレーした“ミカ”ことケニア代表FWマイケル・オルンガのように、アフリカ特有の身体能力を武器に大ブレークの可能性がある原石だ。

188センチ、76キロのストライカー、イスマイラは、193センチ、85キロのオルンガには体格でやや劣るものの、強靱(きょうじん)なフィジカルを生かし、相手DFの天敵として立ちはだかっている。スピード、パワーを兼ねた万能型で、地上でも空中でも無類の強さを発揮する。

昨季は33試合で計129本のシュートを放った。1試合平均のシュート本数は3・91。前半だけでハットトリックを決めた昨年8月9日のJ3カマタマーレ讃岐戦では、1試合のシュート本数としては驚異的な11本をマークした。昨年奪った13得点の内訳は頭6、右足5、左足2で、どこからでもゴールを生み出す力を持っている。

アフリカ出身Jリーガーの先輩でもあるオルンガは、柏がJ2だった19年11月24日の京都サンガ戦で8得点し、個人の1試合最多得点記録を更新。そのシーズンは30試合27得点で得点ランキング2位に入り、柏のJ2優勝とJ1昇格をけん引した。昨季J1では32試合28得点。得点王とMVPの個人2冠を置き土産にカタール1部アルドハイルへ移籍した。アフリカ生まれ、長身、万能型FWと共通点があるイスマイラには、ポスト・オルンガへの期待が懸かる。

新星候補が所属する福島は、J2クラブライセンスを保持しない。今季は「昇格へ向けた変革の年」とJ3優勝を目指しているが、それが達成されても昇格できないのが現状だ。本拠地とうほう・みんなのスタジアムの照明設備は、Jリーグ基準ではなく、22年6月までに設置のめどが立たない場合はJリーグ資格が失効。イスマイラがゴールを量産し、自身の「商品価値」を高めていけば、J2、J1へ個人昇格する可能性も十分に考えられる。

少年時代からのヒーローは、07年に最優秀選手賞「バロンドール」を受賞し、ACミランやRマドリードで活躍した元ブラジル代表MFカカで、愛称“カカ”の由来でもある。今後一緒にプレーしたい選手は5度の「バロンドール」に輝いたユベントスのポルトガル代表FWクリスティアーノ・ロナウド。無限の可能性を秘める22歳が、いつかその夢をかなえる日が来るかもしれない。【山田愛斗】(ニッカンスポーツ・コム/サッカーコラム「サッカー現場発」)

福島対YS横浜 前半38分、逆転ゴールを決める福島FWイスマイラ(右)
福島対YS横浜 前半38分、逆転ゴールを決める福島FWイスマイラ(右)