日本初のサッカー女子プロリーグ「WEリーグ」が、12日に開幕した。各会場収容率の50%以下での開催となったが、INAC神戸-大宮には4000人以上の観客が訪れ、目玉カードの日テレ東京V-三菱重工浦和は前日までにチケットが完売した。日テレ東京VのDF清水は、満員のようなにぎわいを見せた会場に「小さい子から大人までたくさんの方が来ていた。こういう雰囲気の中でサッカーができることは本当に幸せ」と喜びをかみしめた。


第1節5試合の平均入場者数は約2200人だった。すべり出しは順調だが、WEリーグの岡島喜久子チェア(63)は「ここからいかに観客を引きつけて続けるかが課題。開幕節の(各クラブホーム開幕戦がある)3節までは見ていただけると思うけど、その後も観客を入れられるようにクラブと考えていきたい」と、注目を維持することの難しさを理解している。

日テレ東京Vの試合を現地で取材した。強度が高く白熱して面白い試合で、清水の言う通りすばらしい雰囲気だったと思う。ただサッカーを知らない友人を連れて行きたいと思ったときに、「これだから面白いよ」と具体的に示せる根拠がなかった。「WEリーグならではの面白さ」という“とっかかり”が、足りなかったように思う。

開幕と聞いて思い出すのは、16年のバスケットボール「Bリーグ」の開幕戦だ。LEDコートなどのド派手な演出をニュースで見ただけで、「行ってみたい」と思えた。娯楽のあふれる時代に誰かの心を動かすのは、想像を超える“何か”がそこにある、というワクワク感だと思う。開幕初年度だからこそできる大胆な取り組みを、WEリーグにも見せてほしい。【女子サッカー担当=杉山理紗】(ニッカンスポーツ・コム/サッカーコラム「サッカー現場発」)

日テレ東京V対三菱重工浦和 日テレ東京Vに勝利し声援に応える三菱重工浦和イレブン(撮影・鈴木みどり)
日テレ東京V対三菱重工浦和 日テレ東京Vに勝利し声援に応える三菱重工浦和イレブン(撮影・鈴木みどり)