印象的なシーンがあった。2日のJ1リーグ川崎フロンターレ-浦和レッズ戦(等々力)。前半33分、先制ゴールを決めた浦和DF岩波拓也が、一目散に駆けだした。相手ゴール前から向かったのは、反対サイドのリカルド・ロドリゲス監督のもと。熱く抱き合う姿には指揮官への信頼、そして自分たちのサッカーを信じていることがにじみ出ていた気がする。

リーグ4試合を終えて、1分け3敗と白星はまだない。苦しい状況は続くが、副キャプテンのMF関根貴大は言い切った。「今までもこういう勝てない時期はあったが、一番違うのは内容がいいということ。信じて、自分たちがやってることを貫き通せばいいとは、今思っています」。

2月19日の京都サンガとの開幕戦ではボール保持率55%、シュート数15本と上回りながら、相手にわずかなチャンスを決められて敗戦。ホームで敗れた同26日のガンバ大阪では、敵将の片野坂監督が「内容でいうと浦和さんの試合」と振り返っていた。

就任2年目のロドリゲス監督が掲げる戦術は、チームに着実に浸透している。ボールを保持し続け、試合を支配するポゼッションサッカー。今年は新たに13人が新加入となり、キャンプではそれぞれの選手が意識高くコミュニケーションを図っていた。

内容に結果がついてこないもどかしさとともに、ロドリゲス監督は手応えも感じている。「すごく成長しているチーム。ここまで1試合1試合成長していると思う」。若い選手、新加入の選手が多いからこそ。1つの勝利で手応えが確信に変わり、一気に流れに乗ることもできるはずだ。【磯綾乃】