北海道コンサドーレ札幌GK菅野孝憲(38)が26日ガンバ大阪戦で5試合ぶりに復帰し、1-0の完封勝利に貢献した。20年目のプロ人生で初めてのケガによる離脱だったが、守護神を奮い立たせた光景があった。

5月14日鹿島戦で左ふくらはぎを負傷し、リハビリ中のことだった。札幌の試合をスタンドから見守っていた。チームは失点を重ね、追う展開。すると、まだ試合中にもかかわらず、席を立ち、帰るサポーターたちの姿に気づいた。

菅野 一番つらかった。寂しかったけど、それが現実だと思った。うまい、下手に関係なく、走り、戦うことはできる。大学生(8日天皇杯2回戦で対戦した桐蔭横浜大)もできていた。そういう戦う姿勢が見えないから、試合が終わる前に帰ってしまう。サッカーって最後まで何が起こるかわからないけど、それにも期待できないということ。その状況をつくってしまった。

サポーターの失望感を受け止めた。だから、ピッチに戻った時には、まずはその姿勢を見せようと誓った。復帰戦。札幌ドームには19年以来3季ぶりに2万人超が集まった。赤黒に染まったスタンドでは、勝利が決定する瞬間を見ようと、終了を今か今かと待つサポーターたちの姿があった。笛が鳴ると、スタジアムにはスタンドからの拍手が大きく響いた。菅野は試合後、サポーターに向かって、左胸のエンブレムをぎゅっとつかみながら、一緒に喜びを分かち合っていた。【保坂果那】(ニッカンスポーツ・コム/サッカーコラム「サッカー現場発」)

札幌対G大阪 試合後、スタンドにあいさつする札幌の選手たち(2022年6月26日撮影)
札幌対G大阪 試合後、スタンドにあいさつする札幌の選手たち(2022年6月26日撮影)