<高校サッカー:履正社1-1(5PK4)青森山田>◇3日◇3回戦◇ニッパ球

 履正社が首都圏開催になった第55回大会以降、大阪勢の初出場校として初めて8強入りした。主役は「PK職人」だった。1-1で突入したPK戦でGK安川魁(かい=2年)は、青森山田5人目のコースを読み、左へ跳んだ。182センチの体を大きく広げると、気迫に押されたのかクロスバーに当たって外れた。さらに6人目、同じく左に跳んで右手1本でボールをはじき返した。仲間にもみくちゃにされた守護神は「止めたら勝ちやったんで、落ち着いてました」とドヤ顔で言った。

 大阪府大会では、準決勝と決勝でPK戦を制して全国切符をつかんだ。その2試合で、試合終了間際にサブから投入されたのが安川。平野監督は「片手でも止められるパワーがあり、今年のラッキーボーイ」と評された。青森山田の2回戦がPK戦だったためデータもあったが「変えられる可能性があるし、過信せず、自分の勘を信じた」。スペイン代表GKカシリャスが止める映像も見て予行演習してきた。

 準々決勝の相手は平野監督の母校四日市中央工。平野監督は「履正社を率いて最初の練習試合が四中工だった。対戦できてうれしいし、母校を倒して、自分が行けなかった国立に子供たちと行きたい」。09年度の山梨学院大付以来となる初出場4強も見据えた。【木下淳】