イングランドがW杯のメダルを獲得した。初の4強入りで勢いに乗るFIFAランク6位のイングランドは、同1位のドイツと3位決定戦で対戦。0-0で迎えた延長後半3分にMFファラ・ウィリアムズ(31)がPKを決めて1-0で競り勝った。イングランドのメダル獲得はW杯、英国代表として臨んだ12年ロンドン五輪を通じて初。日本との準決勝でオウンゴールしたDFラウラ・バセット(31)はフル出場で完封勝利に貢献した。

 試合終了のホイッスルが響くと、イングランドのDFホートン主将はバセットのもとに駆け寄り、強く抱きしめた。ピッチの選手もベンチから飛びだした選手も、みなバセットを目指した。歓喜の輪の中央で、チームメートから頭をたたかれ祝福される「悲劇のヒロイン」。準決勝日本戦の敗戦を乗り越え、イングランドの歴史が変わった。

 「心臓が張り裂けそうだった」と日本戦後に胸のうちを明かしたバセット。プレーへの影響が心配されたが、サンプソン監督はあえて先発起用に踏み切った。「彼女がいたから、ここまで来られた。彼女は我々とともにある」と。

 涙を拭いて立ったピッチで、バセットは奮闘した。爆発的な得点力を誇るドイツの猛攻に、体を張って立ち向かった。この試合の最優秀選手になったGKバーズリーらとともに、ゴールを守った。打たれたシュートは34本。打った18本の倍近かった。何度もあった決定的なピンチ。延長前半には警告もとられた。それでも120分間、ゴールを割られることはなかった。

 「ドイツという最高のチームに勝って、3位になれた。欧州1位だ。こんなにすばらしいことはない」とサンプソン監督は言った。準決勝の悲劇、それを乗り越えての歓喜。「あの試合を忘れることは難しかったが、選手たちはよく立ち上がった」と、胸を張って言った。3位の表彰式でメダルを大事そうに握りしめたバセット。その笑顔は、まぶしいほど輝いていた。