W杯出場を決めた日本代表について、サッカーを長く取材する記者たちが独自の視線で分析する「Nikkan eye」特別編の第6回は「W杯優勝の夢」。

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 疲労か暑さか、選手とボールの動きにスピード感が乏しかった。何より違ったのは試合に対する「思い」の差。W杯出場がかかるサウジアラビアと出場決定直後の日本では、この結果も仕方ない。「出場が決まっていて良かった」と思いながら、1位突破でW杯を目指す代表チームを見ながら幸せな気分だった。

 「日本の記者が何しに来たんだ?」。イタリア人記者に聞かれたのは90年W杯の時だった。Jリーグ発足もドーハの悲劇も、それから3年後。当時の日本はW杯にとって「よそ者」にすぎなかった。「日本にフットボールはあるのか?」と薄ら笑いで言われて「いつか、代表チームと一緒に来たい」と思ったものだ。

 それから27年、日本は完全に「W杯の一員」になった。98年に参加国が24から32に増え、アジア枠が広がったのは大きい。今の4・5枠なら94年も86年も、さらに54年大会も出場していたことになる。それでも、6大会連続出場は素晴らしい。四半世紀前のことを考えれば、夢のようだ。