強い代表を支えるのは、日本サッカーの進歩だ。Jリーグ誕生で環境は大きく変わった。02年のW杯も、後押しした。30年前の「マイナースポーツ」は「国民的スポーツ」とまで言われるようになった。

 かつてオフト監督は「代表チームの力は国のサッカー力と同じ」と言ったことがある。傑出した個人の力や監督の采配で勝てる試合もあるだろう。が、本当に代表を強くするには、協会やメディア、応援するサポーターも含めた総合力が必要になる。今の日本にはそれがある。少なくとも、W杯常連国としての「サッカー力」はあると思う。

 これから9カ月、サッカーファンは、いや多くの日本人は「W杯のある日常」を過ごすことができる。初出場した98年大会の時のように「出て満足」とはならない。強化スケジュールから監督の采配、選手のプレーぶりに至るまで「世界で勝つために」厳しい目が代表に注がれる。それが、チームを強くするカギだ。

 急激に進化した日本のサッカーだが、最近は停滞感も感じる。ベスト16には2回入ったが、ベスト8への壁は高い。今の日本の「サッカー力」の限界なのかもしれない。それをさらに高めるためにも、9カ月を思い切り楽しみたい。「W杯優勝」の夢を見ることができるのは、W杯出場国だけなのだから。(おわり)【荻島弘一】