新指揮官のもとで、世界一を獲りにいく。サッカーのU-17(17歳以下)女子日本代表が2日、福島県内でU-17W杯ウルグアイ大会(13日開幕)へ向けた事前合宿2日目を行った。

1日に日本サッカー協会が、女性職員へのハグなどの「不適切行為」が原因で同代表の楠瀬直木監督(54)が10月31日付で辞任したことを発表。一夜明けたこの日は、1日から急きょ指揮を執る池田太監督代行(48)のもと、選手らがミニゲームなどで約1時間半、汗を流した。

まさかの大会直前での監督交代という緊急事態に見舞われた。それでも練習では就任2日目の池田監督代行らが大きな声を出して練習を盛り上げ、後日合流する6人を除く15人の選手たちと明るい雰囲気の中で体を動かした。

池田監督代行は突然の就任に「驚いた」としながらも「W杯は目の前にあるので、選手がそこにむかえるようにいろんな準備をしていきたいと思っているだけ」と冷静に話した。8月のU-20女子W杯フランス大会では指揮官として日本を初優勝に導いた。試合で声をからしながら指示を飛ばしたり、ミーティングでの熱血指導の様子などから選手からは“熱男”と呼ばれて慕われていた。大会後はU-18日本女子代表監督に就任しており、当然U-17世代の選手のチェックも行っていた。「(一緒に)サッカーをしたり、(合宿などを)見に来たりしていたこともあったので、初対面という感じではない。顔は知っているので」と不安はない。練習では選手1人1人の名前を呼んで指導するなど、早くも溶け込んだ様子を見せた。

就任初日となった1日は、選手に対してW杯へむけての合宿の目的などを話した。「今はそこ(大会)にフォーカスするところなので。(監督交代は)消化してほしいし、『ピッチに出たときはエネルギッシュに』というのは伝えています」。もちろん狙うは14年コスタリカ大会以来の世界一だ。16年の前回大会は準優勝に終わっており「前回から、また新しいチームになった。また同じようにファイナルにいけるとは限らない。一戦一戦、戦っていくだけだし、選手に1試合でも多く戦わせてあげたい。それにトライしていきたい」と意気込んだ。

チームは3日まで日本で合宿を行い、4日から米国経由でウルグアイ入りする予定。池田監督代行にとっては1年で2度目のW杯の舞台となる。「変わらず、もちろん全力でやっている。それが選手にどう伝わるかは別として、自分の熱はもちろん伝えている」。遠い南米の地で、熱血監督と少女たちの挑戦が始まる。