日本サッカー協会の田嶋幸三会長(61)が23日、明治大学駿河台キャンパスで行われたディスカッションイベント「明治大学アカデミックフェス」の講義に出席し、6月のW杯ロシア大会前後の監督人事について語った。

田嶋会長は同イベント内の「世界の中の日本サッカー:ワールドカップ・ロシア大会を振り返りながら」と題した講義に出席した。日本協会は大会開幕2カ月前の4月9日にハリルホジッチ監督を解任し、当時同協会の技術委員長だった西野朗氏が新監督に就任した。田嶋会長は「人を信じることは大切だなと思いました」と振り返り「(監督の)西野さんと僕はかなりたたかれながらタッグを組んでいたのですけど、それに選手たちも応えてくれていて、それであの成績になったかなと思います」と批判の声も強まる中で2大会ぶりの16強入りを果たした日本代表をたたえた。

西野監督はワールドカップ(W杯)後に退任し、新たに20年東京五輪代表と兼務する形で森保一新監督が誕生した。この判断については「西野さんが技術委員長の時に、(森保氏を)オリンピックの監督に決めました。その時にはもうある程度、両方兼務させることは2人の間では決めていました」と明かした。西野氏の人選の鋭さについても触れ「西野さんはやっぱり何百試合もJリーグでやっていますので、日本人や外国人の相手監督の評価というのはすごくできる方でした。そういう意味でも僕は技術委員長としても素晴らしい才能を持っている方だなとあらためて思っていました。あの人の人を見る目にはこの2年間、本当に勉強させられた」。

その上で、W杯ロシア大会前の監督交代劇について「その時(西野氏は)ふたつ返事で受けてくれました。というよりか西野さんしかいなかったということです。2カ月前にそういう決断をすることはバカだなと思う人もたくさんいた。でも、あそこはあれをせざるを得ない状況だったことは間違いありません」とあらためて強調した。

そして最後に「いろんな報道がありますけど、自分はイチかバチかでやったわけじゃないということをみなさんに伝えておきたいかなと思います」と話して締めくくった。

同イベントには明大の土屋恵一郎学長、スポーツジャーナリストの二宮清純氏らも同席。世界における日本サッカーの立ち位置や、22年W杯カタール大会へむけての課題などについて論じ、学生ら約100人が耳を傾けていた。