サッカー女子日本代表「なでしこジャパン」(FIFAランク11位)は、東京五輪メンバー18人の発表前最後の国際親善試合で、メキシコ代表(同28位)に5-1で勝利した。

途中出場のFW遠藤純(21=日テレ東京V)は代表初ゴールを決め、これがなでしこジャパン第999号とメモリアル王手弾に。18歳MF木下桃香(同)も初ゴールを決めるなど、前線の選手たちが結果を残した。

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最後の最後に、遠藤がはい上がってきた。19年女子W杯で3試合に出場するなど、昨年まではなでしこの常連だったが、今年3月、4月の活動はメンバー外。5月の合宿で半年ぶりに名を連ね、五輪1カ月前に念願の初ゴールを決めた。後半43分、相手DFの裏に抜ける動きでMF中島のパスを呼び込み、利き足ではない右足で冷静に仕留めた。これがなでしこ通算999ゴールに。「ずっと得点が欲しかった。すごくうれしかった。最後まで分からないけど、18人という少ない枠に食い込むために、結果が大事だと分かっていた」。何より欲しかった結果で、最後にアピールした。

左サイドを主戦場とし、スピードを生かしたチャンスメークが持ち味。この日はベンチから試合を見届け「(メキシコの選手は)体が強いと思った」と、体格の異なる相手に体をぶつけられない距離感を意識した。後半26分からピッチに入ると、わずか3分後に左サイドをスピードで切り裂き、後方へのクロスでMF木下の代表初ゴールをアシスト。「少し相手から離れた位置で(クロス)出せた」。冷静な見極めが、試合を決める4点目を生んだ。

実はサイドバックもできるユーティリティーな選手。高倉監督は、遠藤や木下ら“当落線上”とみられる選手の仕事ぶりを「自分の結果を残す、責任を果たすという意味では、強い思いで臨んでくれた。頼もしく感じた」と評価した。

福島県出身。震災直後の11年7月のW杯で世界一になった、なでしこに憧れた。準優勝に終わった12年ロンドン五輪の決勝戦は現地で観戦。当時小学6年生だった遠藤は今、東京五輪に手が届く位置にいる。合宿は16日まで続くが、遠藤は「最後まで気を引き締めて、周りを見ながら自分のプレーをアピールしたい」と全てを出し切る。【杉山理紗】