【ビラモウラ(ポルトガル)27日=鎌田直秀】なでしこジャパン新主将にMF宮間あや(27=岡山湯郷)が就任することが発表された。到着後の初練習前にグラウンド上で佐々木則夫監督(53)から選手、スタッフに伝えられた。ここまでチームを引っ張ってきたMF沢穂希(33=INAC神戸)からバトンタッチされ、今回のアルガルベ杯(29日開幕)を皮切りにロンドン五輪も“新体制”で金メダルを狙うことになる。チームは欧州組も合流し、約2時間汗を流した。

 女子サッカー界史上初の「W杯→五輪連覇」へのカンフル剤は、宮間の主将抜てきだった。なでしこジャパン候補和歌山合同合宿(9~13日)中に佐々木監督は新主将構想を打ち明けていたが、この日の朝に最終的な話し合いを行い、決定した。

 沢は09年11月14日の親善試合ニュージーランド戦から主将を務めてきたが、「私の負担も考えてくれたのかな。あやがやってくれるのは心強い。京川とか若い選手も多くなってきたし、年齢的にも中堅の人が最適」と太鼓判。五輪へ向けても「もちろん全面的にバックアップしますよ」と約束した。

 宮間が次期リーダーとの構想は約1年半前からあった。10年広州アジア大会で佐々木監督は「沢の次は宮間。予行演習のつもり」と大会限定で主将に指名。初のアジア制覇も遂げた。負傷で沢が辞退した和歌山合宿でも、試合形式練習で結果が出なかった危機感を感じ、ピッチサイドで緊急ミーティングを開くなどすでに自覚も芽生えている。

 この日は約2時間、笑いの絶えない中で、パスゲームなどの調整を行った。先頭に立ってランニングした宮間は「みんな自覚をもってやることが大事。プレー面では厳しく、ピッチ外では若い子たちとも一緒に遊べる楽しいチームであればいい」と決意した。

 宮間は昨年、W杯ドイツ大会だけでなく、苦戦の続いた五輪アジア最終予選でも全試合先発出場。アジア女子年間最優秀選手賞も受賞した。昨年の沢の誕生会では率先して歌や踊りで盛り上げるなど、ピッチ外でもムードメーカー的存在だ。指揮官も「カラーは変わるかもね。でも違った可能性もある」と期待。経験と存在感で引っ張る沢とは異なるタイプの新主将が、なでしこジャパンに新たな強さを注入する。