神戸のFW渡辺千真(28)が、移籍後初ゴールを挙げた。前半29分。元日本代表MF森岡の絶妙なラストパスを、相手DFの背後に抜け出して右足で冷静に押し込んだ。

 横浜時代に新人王を獲得。東京から今季加入し、日本人エース候補に期待される渡辺は「(森岡)亮太がいいボールをくれたので、後は決めるだけでした。勝ち点3を取りたかったのが本音」。2度のリードを守れなかったが、価値あるドローで今季初の勝ち点1をつかんだ。

 運に見放された。後半14分。川崎Fの大久保に放たれたシュートはゴールライン上で阻止したように見えたが、判定で得点が認められた。12年まで神戸に在籍した敵のエースにやられ、森岡は「(大久保)嘉人さんの方が運を持っている。(得点と)判断させてしまう空気感がある」と、恨み節は口にしなかった。

 開幕1分け1敗。目標の優勝へ、決して順調とは言えないが、渡辺と同じ移籍組のDF高橋祥も初得点を決めるなど収穫もある。FWマルキーニョスを先発から外したネルシーニョ監督は「私が必要だと思う選手を使う」。競争心をあおり、さらにチーム力を高めていく。【益子浩一】