Jリーグに、電撃的人事で初の副理事長(副チェアマン)が誕生する。23日、東京・JFAハウスで理事会を行い、1月31日の日本協会(JFA)会長選に僅差で敗れた原博実専務理事(57)をNO・2のポストで起用することを承認した。原氏はJFAを退職し、他の新理事らと3月9日付で就任する。

 2期目を迎える村井チェアマンはJFAのNO・3、専務理事を務めた原氏の“獲得”という目玉人事に「Jリーグのレベルを世界水準に引き上げる道筋をつけてもらう」と期待。元日本代表で、浦和と東京で監督経験もある同氏の存在を「(現職幹部に)ずっと大きく欠けていたピース」と表現した。

 原氏が「家族にも言っていない」という仰天人事の裏には、JFAが初めて行った会長選の影響がある。田嶋副会長との一騎打ちの末、34票対40票(白票1)で落選。3月に会長になる田嶋氏は水面下で新人事に着手し、原氏には2階級の降格とも取れる理事の職を打診した。20日の富士ゼロックス・スーパー杯が行われた日産スタジアムで、この処遇を田嶋氏から直接聞いたという村井チェアマンは、原氏に即刻オファーを出した。

 2つの話を受けたその日のうちに原氏は「協会の人間ですから、まずは協会と考えていた。ただ、日本サッカーのためにJリーグから」と決断。激しく争い、開票後の会見で握手までした2人。敗れた対立候補は追われるように新会長就任前にJFAを去る。表面上丸く収まったようにみえるが、会長選は遺恨を残し、初の副チェアマン誕生のサプライズにつながった。