ナビスコ杯第2節ホーム鳥栖戦を2日後に控えた25日、新潟は聖籠町・クラブハウス練習場で体を動かした。右サイドバックとして前節アウェー仙台戦で今季初先発フル出場した酒井宣福(のりよし=23)は、今季ホーム初白星へ意気込んだ。W杯アジア2次予選日本代表の兄高徳(25=ハンブルガーSV)と同じサイドハーフだが、本来はMF登録で専門外。それでもピッチ登場の機会があれば勝利を狙って守り、攻める。

 芝生を蹴散らす酒井の黄色いシューズが、緑とのコントラストで映える。フリーマンを配置したハーフコートの8対8。酒井は右サイドバックでライン沿いを何度も上下動した。吉田達磨監督(41)は「本職ではないが、パニックにならず落ち着いていた。自分のリズムでプレーしていた」と前節のプレーを評価している。

 酒井は4人兄弟の三男で、3人までもがプロサッカー選手だ。次兄高徳はW杯2次予選の日本代表。四男高聖(ごうそん=20)は今季、新潟からJ3の福島に期限付き移籍した。「兄も弟もライバル」と兄弟の存在はモチベーションの源泉。兄高徳を「目標にすべき、尊敬すべき存在」とも言う。しかし、助言は仰いでいない。「前への推進力。1対1の強さ」という持ち味を、ピッチに出れば、すべて吐き出す。

 「与えられた位置は、すべて自分のものにする」と、どのポジションでも、貪欲に取り組むのが真骨頂。「出るチャンスがあったらやれることは全部やる。失点しない。得点する。それがチームの大前提」。酒井は、勝利というターゲットから視線をそらしていなかった。【涌井幹雄】