今日17日に始まる日本代表候補GK合宿(19日まで)に初招集されたJ2・2位松本のGKシュミット・ダニエル(24)が、メンバー発表後初の試合で完封した。千葉を3-0で下し、3位C大阪との勝ち点差を4に広げて自動昇格圏キープに貢献した。先制点につながったFKを自らのロングフィードで獲得するなど足元の技術も披露。身長が公式の196センチから197センチに伸びていたことも明かした。

 巨体が前に出た。前半18分、シュミットが守る松本ゴール前。千葉に最終ラインを崩されてFWエウトンと1対1になると、猛ダッシュで距離を詰めた。威圧されたのか、相手シュートが枠を外れる。「実は197センチなんです」。公式プロフィルより1センチ伸びていた長身を投げてピンチを切り抜け、反町監督を「今日の分岐点。うちのGKは代表ですから」と笑顔にした。

 前半37分には、利き足ではない左足で前方へフィード。相手ファウルを誘い、直後の先制点につながるFKを獲得した。中学までボランチで自信を持つ足元の技術も披露。「代表に選ばれれば、見られる目も変わる」。その中でも自然体を心掛け、チームのJ1昇格プレーオフ出場決定(6位以内)に集中した。

 一方、後半21分には相手CKに飛び出しながらボールに触れず、シュートを許した。かつてA代表コーチと北京五輪代表監督を兼任した反町監督から「川島と(西川)周作に比べれば、ゴールを守る部分で努力が必要」と注文もされた。ただ、W杯最終予選で全4失点をセットプレーから許している日本にとって、197センチ、90キロは魅力。93年以降の代表では最長身となるが「日本で一番デカいGKなら日本で一番、止めないと」と望むところだった。

 取材で普段の数倍の20人超に囲まれ「大きな選手は持っていない速さを、自分なら出せる」と言い切った。世代別代表の経験がなくても強気だったが、取材後は初々しかった。チームスタッフから電車の乗り継ぎ方を懇切丁寧に教わり、今日からの合宿に備えて大阪へ向かった。【木下淳】

 ◆シュミット・ダニエル 1992年2月3日、米イリノイ州カーボンデール生まれ。米国人の父と日本人の母の間に生まれ、2歳で来日。移住した仙台で小学校2年の時にサッカーを始め、東北学院高でボランチからGKに転向。中大時代は全日本大学選抜に選出され、1~3年時は川崎Fの特別指定選手。14年に仙台入り。J2熊本への期限付き移籍をへて、今季は同松本に期限付き移籍中。J2通算66試合出場。