鹿島が延長の末、2-1で川崎Fに勝利し、6大会ぶり5度目の優勝を達成した。Jリーグに続く2冠。国内タイトルは通算19冠目となった。

 序盤から川崎Fに攻められたが、GK曽ケ端準(37)らを中心に守備陣が粘って攻撃に転じた。0-0で迎えた前半42分、左膝裏負傷を抱えて強行出場したDF山本脩斗(31)がMF遠藤康(28)のCKに頭で合わせて先制した。後ろに下がりながらの技ありヘッドを決めた山本は「ヘディングは意外とうまいほう。まだ、ばれていないから決められた。僕には身長は3番目か4番目くらいの選手がマークにつく」と笑顔を見せた。

 後半9分に同点とされても、焦りはまったく見られなかった。Jリーグチャンピオンシップ(CS)、クラブW杯、天皇杯と連戦が続いた疲労以上に、自信が芽生えたプレーで落ち着いた試合運びを演じた。延長前半4分、今季限りで退団するMFファブリシオ(26)が右足で豪快に勝ち越しゴールを決めた。MF永木亮太(28)の縦パスを途中出場FW鈴木優磨(20)が頭で落とす。走り込んだ右サイドバック西大伍(29)が粘ってラストパス。西は「最後のほうは、むこうのほうが(体力が)落ちてきたかな」と勝利への執念の違いを見せつけた格好となった。

 エースFW金崎夢生(27)を体調不良で欠いても、頂点に立つ強さを示した。史上初の3連覇を果たした09年の最初のスタートだった07年も苦しんだ末にリーグ戦を制し、天皇杯も勢いで制した。MF小笠原満男(37)らベテラン勢に加え、DF昌子源(24)や植田直通(22)ら若手も引っ張る今季の躍進は、当時に似ている。昌子は「元日に優勝できたことはうれしいけれど、正直、CS制度があったから、ここまで来たと思っている。今シーズンは鹿島の年になったけれど、来シーズンも鹿島が一番上だと思われるように引っ張っていきたい」と、すでに次を向いた。さらに「目標はあくまでも国内3冠だった。クラブW杯も決勝で負けた。2冠に終わったことに反省もしないといけない」と付け加え、常勝再建への意識は高い。

 わずか2週間のオフを経て、今月中旬にも始動予定だ。下旬には新設されたJリーグとタイリーグの交流大会出場のため、タイへ遠征する。2月25日のJ1開幕まで休む時間は、ほとんどない。国内20冠をかけた17年シーズンに向け、20歳の鈴木は「Jリーグはもちろん、ACL(アジア・チャンピオンズリーグ)も優勝して、またクラブW杯に出たい。ヨーロッパのチャンピオンとまたやりたい。チームではスタメンをとりたい。そうすれば、日本代表も見えてくる」と力強かった。