遠野(岩手)が松山北(愛媛)に2-0で快勝し、岩手県勢として9大会ぶりの白星を挙げた。前半32分に先制すると、同35分にFW佐々木琢光(たくみ=3年)のゴールで追加点。前回大会の東福岡戦で決定機を外した悔しさを晴らした。今日3日、優勝候補の市船橋(千葉)を撃破した前橋育英(群馬)と対戦する。

 遠野が岩手の初戦敗退を「8」で止めた。相手の戦意を奪う貴重な追加点を決めたのが佐々木琢だった。前半35分。MF佐々木渓人(2年)のスルーパスに抜けだし、相手GKと1対1になるとGKの動きを冷静に見極めネットを揺らす。07年度に遠野が8強入りして以来の岩手勢勝利に、佐々木琢は「初戦突破が目標だったので良かった」と振り返った。

 昨大会は優勝した東福岡に0-3で完敗した。2年生でピッチに立っていた佐々木琢は、決定機で外してしまった瞬間を引きずっていた。「自分にボールが入った瞬間、頭が真っ白になって、冷静さを失って、打たされたシュートになってしまった」。3年になり「自分の勝負どころはゴール前の落ち着き」と課題を掲げ、長谷川仁監督の下、パスとドリブルを使って積極的にエリア内に入る動きや、サイドを崩して中で合わせる動きを磨いてきた。

 積み重ねた努力は裏切らなかった。昨大会のリベンジを果たすゴールに、佐々木琢は「今回は冷静にGKの動きが分かったし、シュートのコースも見えていた。結果を出せて良かった」と堂々と胸を張った。

 次戦は優勝候補の市船橋との激闘を制した伝統校・前橋育英との対戦だ。長谷川監督は「相手は次が3試合目だが、自分たちは2試合目。体力面でのアドバンテージはある」と見据える。昨大会で敗れた東福岡にリベンジできるのは決勝しかないが、佐々木琢は「先のことを考えず、1戦1戦、やっていきたい」と一戦必勝を掲げた。【岩田千代巳】