J1東京入りするGK広末陸(3年)は「耐えて、耐えて1チャンスをものにしたかった。準々、準決勝と失点していた。(決勝での完封勝ちで)1年、やってきたことが出せた」と笑みを浮かべた。

 開始10秒、ボールを蹴ろうとしたところに相手選手につっかけられ、あわやという場面を作ってしまった。その後も前半は20分過ぎまで押される展開が続いた。「ちょっと雰囲気にのまれた部分があり、立ち上がりはいつも通りのプレーではなかった。DFも体を張って、あと一歩のところを防いでくれた。苦しい時間帯の先制点が大きかった」と、前半23分のMF高橋壱晟(3年)のゴールが、勝利の決め手だったと語った。

 実は試合中、左太もも前部の付け根を痛めていた。「前半、クロスボールから押し込まれそうになった時、ブロッキングにいって少し足をひねって痛めた。後半、外にクリアした時、もう1回、そこをやってしまった」

 ケガを押し、完封勝ちで選手権を制した。高円宮杯U-18チャンピオンシップとの2冠を手土産に、ユースに昇格できなかった東京に“凱旋”し、プロの第一歩を踏み出す。「東京に戻れるということで、あのエンブレムをつけてチームに貢献したい」と強い意欲を見せた。U-19アジア選手権で初優勝した日本代表の一員だけに「日本代表にとどまらず、世界に進出できるGKになりたい」と大きな目標を口にした。【村上幸将】