鹿島MF柴崎岳(24)のスペイン1部ラスパルマス移籍が22日、決定的となった。今冬の欧州移籍を希望し、鹿島側も容認。近日中にラスパルマスから正式オファーが届き、今週中にも合意する見通しとなった。チームはこの日午前にタイ遠征へ出発したが、渡欧に備えるため柴崎は同行せず、茨城・鹿嶋市内で1人だけで練習を行った。

 15年から欧州移籍を本格的に目指してきた柴崎が、ついに海外でのプレーを実現させる。移籍先が未決定なら、24日にタイで開幕するクラブ対抗戦「Jリーグ アジアチャレンジ」に鹿島の一員として出場する予定だったが、急きょ辞退。クラブ関係者は「正式にオファーが来るという前提で準備している。移籍の可能性が(本格的に)あるということ」と説明。近日中に獲得オファーが届き、正式契約を結ぶ可能性が高まったと明かした。

 前日21日夜、柴崎はクラブ幹部に「移籍を視野に入れた行動を取らせてほしい」と日本で吉報を待つことを要望した。15年にはドイツ1部フランクフルトなどが興味を示すも、オファーには至らなかった。「鹿島でJリーグのタイトルを取って行きたい」と親しい関係者に決意を語っていた昨季、自身初のJ王者に加えて天皇杯との2冠達成。クラブW杯決勝Rマドリード(スペイン)戦では2得点を挙げるなど世界に「SHIBASAKI」の名をとどろかせた。先にあったスペイン2部に続き、新たなオファーも引き寄せた。

 いつでもスペインに渡る準備は整えている。この日、誰もいない鹿島のクラブハウスに柴崎の姿があった。背番号と同じ10個のボールを自分で運び、1人だけでシュート練習。そして自分で拾い、また打ちまくる。ドリブルやフェイントも入れながら、黙々とネットを揺らす姿は、サッカー少年が夢を抱いてボールを追う、それだった。練習後、携帯電話を片手に車に乗り込むと家路を急いだ。