-ハーフタイムコメントの「リスクマネジメント」という言葉で、大人の湘南スタイルに変わるのかなと

 大人とは思っていないですけど。物事を捉えて考える時、例えばボールサイドにプレッシャーかけたら、逆が空く。じゃあ、そういう分析があるから行かない…本当に、いたちごっこ。最後は選手に判断の責任を預けられるかが大事。そこを、どう選手が考え、乗り越えていくかで本当の成長があるわけで。湘南スタイルは、何でもかんでも縦にいって、それでゴール、ボールを取ると言われているけれど、そこをベースにしながらも、アウトサイドの選手が真ん中でボールを奪った場面が何回もあったと思う。そこのリスクを冒していかないと、サイドチェンジされるから待って下がっちゃうと、サッカーそのものの魅力、テンポが見られない。今行く、行かない…ここだというところの判断が今までより速かった。今まで出たヤツと今日、初めて出たヤツが普段、練習している温度を下げていないことが、僕にとって1番うれしいこと。誰のおかげで勝ったとかじゃない。悪いところを消して、あまりある良さというのが、彼らのいいところだと思っているので、これからもピッチで見えるよう働きかけていきたい。

 -バランスをどう取る?

 バランスを取れと言う言葉が、本当にいいことか? バランスを取ってプレーしろという指示は恐ろしく難しい。バランスを取りなさいと先に教えて指導すると、指導者のバランスが選手のバランスになる。サッカー的に言うと、監督の基準が全部、選手の基準になっちゃう。監督が考えている以上のことを、選手が見せられないこととイコールだと思っている。選手の実際、感じているところは違うんじゃないか、というのを我々は本当は受け止めなければいけない。僕はバランスという言葉を、あまり使ったことがない。僕の基準が選手の基準になっているようじゃ、もうそれはダメだなと、J1の時に散々、思ったので、そこを変えて、自立、自己判断、選手同士の空気が、チームの選択の基準を決められるようにしたいと思っています。バランスという言葉が本当に必要か…迷うけれど、僕は使わないと思います。

 曹監督は、足を引きずりながら会見場を後にした。【村上幸将】