湘南ベルマーレの曹貴裁監督(48)は、アビスパ福岡に0-3で敗れたが「前半は(12年に)監督になってから、ベストと言っていいくらい選手が躍動した。スタイルの幅をさらに進化させ“ニュー湘南スタイル”を作っていかなければいけない」と語った。

 監督会見の主な内容は、以下の通り

 今日はJ2が、プロで行われた唯一のプロのリーグ。たくさんのお客さんに来ていただいた中、16年に(J1で)2敗の福岡にどう戦うか…短い時間の中で準備した。残念な結果で終わりましたけども、勝ち点1じゃなく3を狙いにいく、勝ち点0のリスクを負いながら3を目指していくところで言うと、選手は良かったと思います。前半は、僕が監督してからベストと言っていいくらい選手が躍動し、相手に何もさせなかったですけど、サッカーとは面白いもので、1つのFKから失点してしまって、相手が息を吹き返す。成長段階の選手、プロとしてこれから強くなっていかないといけない集団だと思っている中で、強いチームは1、2点入れてカウンターで3点目を取りにいける展開に持ち込めるんですけど、まだまだ力が足りないし、自分自身も力不足だと思う。内容は今日よりも全然悪いのに勝てた試合もあるし、良かったのに勝てなかった試合も、監督経験の中にありますけども、我々のスタイルは日ごと、週ごと、月ごと、年ごとに進化しないといけないと思っていて。その意味では、新しい湘南のサッカー…何を大事に、何を埋めていくかに関しては、その一端を見せられたと思うし、これを結果につなげていくのが僕の仕事だと思いますし、今日、出た選手は全員、良くやったと思います。福岡さんは、本当に個の力がすごくあって、少ないチャンスを決めてくるのは見習わないといけない。

 -システムを3バックから4バックに変えた

 曹監督 シーズンの途中なので、あまり詳しくここで話すべきじゃないので、ギリギリに答えるとしたら…今の記者の質問自体が、我々を苦しめているところがあるかも知れない。と言うのは(ブンデスリーガで)ドルトムントは3バックと4バックを併用していますし、今の世の中、3だろうが4だろうが2だろうが5だろうが、今いる選手の最大値を出すためにシステムがある。今日は2バックだったと言えるかも知れないし、4かも知れないし、前線は5、6、7人だったかも知れない。相手は、特に前半に関しては非常に守りづらかったんじゃないかと思う。システムが変わったから、そうなったと言うよりも、我々の選手たちの良さが生きたから、そう見えたという意味では、システムを変えたから良くなったという時代は、とっくに終わっていると思います。選手の特徴、相手のかみ合わせで形は変わっていかなきゃいけなくて、我々はベストの戦いだと思ってやりました。最後のクロスの失点みたいに当然、中を薄くすると、上げられて失点するリスクがあってやらせたこと。結果として悪い風に出ましたけど、成長段階で、新しい自分たちを見つけられたと言うと、非常にポジティブです。

 -選手の試合後の反応は

 曹監督 1番は、選手の感じなんですよね。試合をやった後、いくら監督が良かった、悪かったと言っても、選手が今日は全然ダメだと思っていれば、当たり前だけど点は入らない。僕は絵の才能はないですけど、絵を描いた人は、本当にいい作品が出来たことが周りに認められて、初めて実感があると思う。今日に関して言うと、選手としては非常に手応えがあった、もったいなかった、俺が決めていればという試合。手応えに酔ってもいけないし、自分たちのスタイルの幅を、今日の試合をもってさらに進化させるというか、“ニュー湘南スタイル”を作っていかなければいけないなという気持ちでいます。

 -手応えをつかんだ

 曹監督 手応えという言い方はおかしいですけど、自分たちがどうしなければいけないという、戦い方の幅は確実に今日で広がったと思います。我々が俗に言うカウンターとか、バーッと行って、みんなでペナルティーエリアの中に7人が入る“湘南スタイル”みたいに言われるところから、今の選手たち用にアレンジ、バージョンアップしなきゃいけないと思う中で言うと、今日は非常に手応えのある1日になったことは、僕を含めて間違いないと思います。ただ、当たり前のように、課題はあるし、そこに向き合っていかなければいけないと思います。

 この日、前半の湘南は、攻める時は深い位置にDF2枚が残り、それ以外の選手が中盤から前線に向かって流動的に、連動して動く超攻撃サッカーで福岡を圧倒した。結果だけ見れば完敗だが、曹監督になって6シーズン目を迎え、湘南はさらなる進化の一端を見せた。【村上幸将】