鹿島アントラーズは、先月31日に石井正忠監督(50)解任となった負の流れを、3-1の快勝で断ち切った。コーチから昇格した大岩剛新監督(44)は、足首痛を抱えるFW金崎夢生(28)やFWペドロ・ジュニオール(30)をベンチから外し、今季左MFでの起用が多かったFW土居聖真(25)を2トップの一角で起用した。相手のセンターバックとボランチの間でボールを受けた土居が好機を何度も演出。前半14分にはMF中村充孝(26)の先制点をアシストした。同30分にはMFレアンドロ(24)が中村とのパス交換でゴール前に迫ると、左足でゴール。同43分にもレアンドロが右足で追加点を奪った。

 土居は「中央で仕事してくれという監督のメッセージを感じていた。攻める形がたくさんあったと思うし、これが出せれば勝ちにつながると思う」。ただ、自身の無得点には少々不満顔。「勝ったから欲が出ちゃうけれど、自分が点をとって貢献できれば、なお良い。監督交代にはなりましたけれど、(30日も)広州恒大には勝っているし、力はあると少しプラスに考えていました」と前を向いた。

 後半に1失点したものの、就任初戦を白星発進した大岩監督は「ホッとしています。90分長かったなというのが、正直な感想です」。気温27度の暑さだけでなく、監督としてのプレッシャーなども感じながらの指揮に「途中でクラッときて立っていられなくなった。ポロシャツも4枚目です」と、びっしょりと汗をかいてピッチサイドで一緒に戦った。今季のリーグ戦では出番の少なかった中村やレアンドロが先発起用に応えて、ゴールを奪い「彼らがとったというのはうれしいし、僕も選手たちも喜んでいる」と、チーム2点目直後には派手なガッツポーズで、喜びを表現した。

 監督交代の英断を下した、強化担当の鈴木満常務取締役(60)も「監督が代わって負けるとどんどん自信をなくしちゃう。初めてだけど良くやってくれた。選手もすごく集中していて、勝とうという結束力が強かった」とたたえた。