清水エスパルスはアウェーでヴァンフォーレ甲府と対戦し、1-0で完封勝利した。後半25分、途中出場のFW北川航也(21)が、思い切りのいいシュートで決勝点を挙げ、富士山ダービーを制した。リーグ連敗を3で止め、連続失点も6でストップ。アウェーでは4月8日アウェー柏(2-0)以来約5カ月ぶりの勝利で13位を死守し、J1残留へ前進した。

 約2500人のオレンジサポーターを北川が沸かせた。後半25分、GK六反勇次(30)のロングボールを、MFミッチェル・デューク(26)が相手DFと競った。頭を打ち、痛がりながら、ゴールに背を向けた状態でヒールパス。動きだしていた北川が見逃さずニアサイドに決めた。ベンチメンバーの元に駆け寄ると、チームメートの手荒い祝福に笑顔を見せた。トリッキーなパスだったが、「反応できるのがストライカー。思い切り打つことだけ考えていた」と振り返った。

 師と慕う六反の思いが詰まったキックを、見事に生かした。2人は練習開始2時間前、クラブハウスに集合する。ともにみっちりと体幹トレーニングを行い、準備を整えている。今季、新加入の六反は練習メニューだけでなく、プロ選手としての生活、心構え、プレーの狙いなどを北川に説いている。「ゴールキックの際にはDFラインの裏を狙え」。これも常に言われていることで、北川は「六さんにも『ありがとう』って言いたい」と笑った。

 この日、今季ボランチで15試合出場のMF竹内涼(26)が負傷欠場したが、7戦ぶりの完封で連敗を3で止めた。J2降格ライン16位大宮との差も5から8に広がった。それでも、小林伸二監督(57)は「厳しいゲームだったが、勝つことが次につながる。(順位の)後ろは気にせず、前に進む」と言った。

 フィールドで今季唯一全試合出場のDF松原后(21)が4枚目警告を受け次節ホーム川崎F戦が出場停止。試練は続くが、J1残留へ力を結集する。【保坂恭子】