試合終了の笛が鳴ると、清水エスパルスの選手はピッチに倒れ込んだ。リーグ2連敗でホーム戦は4連敗。試合後は、ブーイングが起こった。小林伸二監督(57)は「1勝するのが難しい。少しの隙が左右する」と悔しさを口にした。

 決めきれない展開が続いた後半23分、FW鄭大世(33)が、アップゾーンを自ら飛び出した。しびれを切らしていたからだ。直後に交代の声。約2カ月ぶりに公式戦のピッチに入った。同39分、早速、結果を残した。FW北川航也(21)からの右クロスに体を投げ出し、頭で合わて同点。今季初ホーム弾で「うっぷんがたまっていたので、気持ちがボールに乗り移った」と振り返った。

 8月4日に左ふくらはぎを肉離れ。リハビリ開始後も、余波からさまざまな筋肉が張り、ぎりぎりの状態で練習を続けてきた。だが、「自分がしっかりしなきゃという危機感。FWがチームを元気づけるプレーをする」と決意し、ぶっつけ本番で臨んでいた。

 チームは後半ロスタイムに2失点。順位は13位のままだが、J2降格ライン16位甲府との勝ち点差は、7から4に縮まった。残り7戦。鄭は主将として「(勝ち点の)貯金がある。一喜一憂しないで、着々と積み重ねることが最重要任務」と話した。【保坂恭子】