川崎フロンターレFW小林は人生初のハットトリックで、得点王を決めた。2得点で22ゴールとしてセレッソ大阪杉本と並んで迎えた後半36分。MF阿部がPKを得る。小林は仲間が沸く姿に思った。「僕に得点王を取らせようとしてくれている」。冷静に決め、単独トップに躍り出て初の得点王を決めた。

 初のハットトリックが、念願のタイトルに結び付いた。「出来過ぎです」と笑ったが、感謝を忘れない小林はアシストしてくれた仲間を思い、そして自分を拾ってくれたクラブを思っていた。

 まだ無名だった拓大時代。川崎Fへの入団が決まっていた矢先に右足前十字靱帯(じんたい)を負傷した。泣きながらチームに連絡を入れた。「もう、ダメでしょうか?」。すると担当スカウトは「ケガを含めてのオファーだよ。ケガは今するか、後でするかの違いだから」と言ってくれた。そのありがたみをかみしめ努力してきたから、日本を代表するFWに成長した。

 ▼得点王 川崎FのFW小林が23ゴールで初の得点王。第33節時で首位のC大阪FW杉本(22得点)に2ゴール差の2位だったが、最終節の大宮戦で自身初の1試合3得点をマークして逆転。ハットトリックはJ1で今季4度目、通算225度目だが、チャンピオンシップで年間王者を決めた年を含め、年間優勝決定試合でハットトリックは初。得点王とチーム年間優勝の「2冠」は12年の広島FW佐藤以来5年ぶり7人目。