来季J2降格が決まったアルビレックス新潟は、戦績以外の数字も伸び悩んだ。今季の1試合平均入場者数は約2万2000人。ホームのデンカビッグスワンスタジアムを、満員の4万人で埋める企画は不発に終わった。観客席の半分が空席になった中での降格。チーム、選手をバックアップするクラブ側の甘さが目立った。

 今季最終戦の2日C大阪戦。終了後のデンカビッグスワンスタジアムでシーズン終了のセレモニーが行われた。新潟の中野幸夫社長(62)がマイクに向かってJ2降格の謝罪を言葉にする中、ゴール裏の観客席に横断幕が掲げられた。

 「J1も4万人も失ったこのクラブの存在意義とは? 明確なコンセプトを皆で考えよう」

 今季の平均入場者数は2万2034人。4連勝で締めたC大阪戦は1万9684人、J2降格が決まった11月18日の甲府戦は今季最少の1万6461人だった。

 クラブは8月、「スタジアム満員プロジェクト」を立ち上げた。満員で選手を後押ししようという趣旨だ。同5日の横浜戦には関連自治体、スポンサー幹部らが観戦に訪れたが、入場者数は2万4137人だった。昨年も同様の企画を行っている。「橙魂結集・4万人オレンジプロジェクト」。ユニホーム付きチケットを販売し、スタジアムをクラブカラーのオレンジに染めようというもの。だが、この試合(鹿島戦)の入場者数は2万6202人にとどまった。

 「橙魂結集…」に携わったクラブ関係者は言った。「あのとき4万人には届かなかったが、クラブの収入的には成功だった」。4万人が訪れなくても収益が上がればそれでよし、と言わんばかりだった。

 10年横浜戦の4万1002人を最後に、新潟の代名詞だった「4万人のスタジアム」は消えた。復活を目指した昨年、一昨年の企画は単発で、継続性は見られなかった。開幕から本腰を入れて集客を増やそうというものではない。

 J1復帰にスタジアムの活性化は重要課題だ。最終戦のセレモニーで中野社長は声を詰まらせて訴えた。「1年でJ1に戻れるよう、来季を応援をよろしくお願いします」。横断幕が示すように、サポーターはクラブの本気度を注視している。(おわり)【特別取材班】