2大会ぶりの優勝を目指す藤枝順心(静岡・東海2)が、4強入りを決めた。2回戦から先発6人を入れ替えたが、松商学園(長野・北信越3)に7-0で快勝。前半6分には、右ひざ前十字靱帯(じんたい)損傷の大ケガを乗り越えたDF安部由紀夏(3年)の先制ゴールで流れをつくった。準決勝(4日)では、前回の選手権準々決勝で敗れた大商学園(大阪・関西2)と対戦する。

 攻撃の口火を切ったのは、復活を期す安部だった。前半6分、右クロスからのこぼれ球に反応してダイレクトで右足を振り抜き、ゴール右隅に決めた。「なかなか自分たちのプレーができなくて、苦しんでいた中で先制点が取れてよかった」。試合前日の元日は、チームバスの故障で練習場に行けない事態に。神戸市内の宿舎周辺でランニングするだけの調整となったが、アクシデントも乗り越えて力強さを発揮した。

 選手権の舞台に、2年ぶりに帰ってきた。藤枝順心が9大会ぶり2度目の優勝を果たした2大会前の決勝、優勝弾を決めたのが当時1年生の安部。高校でのサッカー生活は、最高の滑り出しだった。しかし16年6月、全国高校総体県大会の決勝で右ひざ前十字靱帯を損傷。復帰したのは昨年5月で、今もコンディションは完璧ではなく接触プレーに怖さもあるが「(高校)最後の3年生、もう1回試合で活躍したい」。多々良和之監督(52)も「時間が無い中で、由紀夏のキレが戻ってきてくれたら」と期待する。

 今大会は2試合に先発し2得点と結果も残している。頂点を目指し、全国の舞台で再び輝く。【保坂恭子】