全国高校サッカー選手権(8日決勝)に初出場でベスト8入りした日本文理(新潟)が6日に帰郷した。午後2時過ぎに学校に戻り、凱旋(がいせん)式に臨んだ。新潟県勢最高成績タイの8強入りに胸を張ったメンバーの本音は、県勢初の4強入り。逃した夢をDF長谷川龍一主将(3年)は後輩たちに託した。

 出迎えた控えのサッカー部員、野球部員、父母ら、150人の前でDF長谷川主将が挨拶した。学校到着後に開かれた玄関ロビーの凱旋式。スタンドマイクの前に立って口を開いた。「自分たちの本心は、埼玉スタジアム(準決勝以上)でプレーすることだった。この大会で出た課題を1、2年生への置き土産にしたい」。

 全国選手権で、日本文理サッカーの運動量はどこにも引けを取らなかった。しかし、準々決勝の矢板中央(栃木)戦は0-1の惜敗。長谷川主将は「ディフェンスは一瞬のミスを徹底してなくすこと」と、後輩への「置き土産」の例を挙げた。2年生でただ1人、8強入りのピッチを体感したGK相沢ピーターコアミは「走力、試合内容は全国の強豪に負けていない。勝負強さを身につけるのが、課題」と、長谷川主将が突きつけた「置き土産」の回答を引き出した。

 選手たちは、さいたま市内の宿舎からバス移動で帰郷。駒沢隆一監督(56)は「トンネルを抜けて雪を見たら、夢の世界は終わったと思った」と言った。全国選手権初出場でベスト8に入った日本文理が、次に見る夢は4強以上だ。駒沢監督は「今回の場所(準々決勝)に戻ってきたい」と、夢を追い続ける決意を見せた。

 駒沢監督が12年に立ち上げたU-15年代のクラブ、エボルブFCは昨夏の日本クラブユースU-15選手権でベスト16。日本文理の「弟分」が結果を残し、同クラブ1期生の長谷川主将らがチームの核になって8強入りを決めた。6年一貫のチーム強化は着々だ。長谷川主将は「僕たちができなかったべスト4、優勝を決めて欲しい」。9日に行われる3年生の引退式で次期主将が選出され、来年に向かって再始動する。【涌井幹雄】