アルビレックス新潟の開幕2連勝はならなかった。松本山雅FCと1-1で引き分けた。前半44分、今季初スタメンのFW矢野貴章(33)がヘディングでゴールを決めて先制。そのまま押し切るかと思われたが、後半36分に追いつかれた。新潟の次戦は7日のルヴァン杯第1節ベガルタ仙台戦(宮城・ユアテックスタジアム仙台)。リーグ戦第3節は11日、京都サンガFCとデンカSで対戦する。

 FW矢野の豪快なヘディングが新潟サポーターの大歓声を呼び起こした。前半44分、ペナルティーエリア外の左サイドからMF高木善朗(25)がクロス。「狙い通りの形で取れた」。187センチの長身を高く跳ね上げ、正確にヒットさせる。

 試合前、高木とはシャワーを浴びながら打ち合わせした。「サイドで持ったら早い段階でクロスを入れてくれ」。高木も「あれは貴章さん仕様のクロス。高いと思ったけど、しっかり合わせてくれた」。息の合ったプレーできれいにゴールを生んだ。

 矢野は今季初スタメン。前節讃岐戦は後半途中出場でFW河田篤秀(25)の決勝点につながるパスを出した。そしてホーム開幕戦では自らが今季初得点。「ここで取るのは久しぶりですね」。矢野にとっては昨年4月の甲府戦以来のゴールで、デンカSでは12年8月4日の柏戦以来になる。「自分の形に呼び込めばチャンスはつくれる」。今後のゴール量産の手応えもつかんだ。

 ただ、この1点では勝てなかった。後半36分、左サイドのクロスから松本MFセルジーニョ(27)に同点弾を決められた。後半15分に松本が同時に2人を交代したところから、中央を簡単に突破され、守備の裏を狙われるようになった。

 「相手の仕掛けに慌てて、リズムをつくられる守備になった」。鈴木政一監督(63)は主導権を握られ、取り戻せなかったことを反省点に挙げた。矢野も「どこかで流れを変えるようにしなければ。これからこういう攻めをしてくるチームが多くなる」と言った。反省と収穫。ホーム開幕戦で手にした勝ち点1の中に詰まっているものを、今後に生かす。【斎藤慎一郎】