FC東京FW久保建英(16)が、ルヴァン杯最年少ゴールを記録した。J2アルビレックス新潟戦の後半31分、得意の左足で決勝ゴール。16歳9カ月10日での得点は、森本貴幸(当時東京V)が05年3月にマークした16歳10カ月12日の記録を約1カ月更新した。トップチームでの初ゴールで、今季公式戦4戦未勝利だったチームを1-0の勝利に導いた。

 後半25分に投入された6分後。中央で味方のパス交換を見ていた久保が、ペナルティーエリア目指して加速する。右手でボールを要求し、ディエゴ・オリヴェイラのパスを受ける。DF4人に囲まれかけたが、3タッチで左へ抜け出した。

 ゴールから遠ざかりながら、角度をつけて正確にシュートを打つ。スムーズな動きから、4タッチ目でゴール右サイドネットへ。勢い余って転倒も、すぐに起き上がり、ゴール裏のサポーターの前へ。左手でガッツポーズしながら、最年少ゴールを喜んだ。

 久保 映像を見てもらった方が分かりやすいと思うんですけど、自分はあの形が得意だと思っているので、どんどんああいう形でフィニッシュにまで持っていけたらと思います。

 シュートの正確さに目を奪われがちだが、久保の能力の高さは、シュートに持ち込むまでの動きにある。「僕の武器です」と自信を持つ。相手が何人いても、「ここにボールをくれ」と要求し、密集の中心でボールを受け、攻撃の起点になれる。ジュニア時代を過ごした川崎Fでも、頭角を現したバルセロナの下部組織でも、そして東京でも、コーチから「そこを伸ばせ」と評価されてきた。

 マーク役だった新潟MF戸嶋は「ドリブルの時も常に顔を上げていた」と、クオリティーに目を見張った。確かな技術に裏打ちされた得点は無限の可能性を感じさせる。長谷川監督は「狙い通りの得点を取ってくれた。大した選手だ」と舌を巻いた。まさに今、どこまでも伸びていく才能が、ここにある。【井上真】