女子日本代表のエース菊島宙(そら、16=都八王子盲学校)が、ゴールラッシュで大会開幕を飾った。埼玉T.Wingsのメンバーとして男子選手に交じってMix Sense名古屋戦、A-pfeile広島BFC戦にフル出場し、合計8ゴール。6-0、7-0の連勝で決勝トーナメント進出を決めた。

 名古屋戦の前半終了直前、相手ゴール前で体勢を崩しながら左足でシュートをねじ込んだのがこの日の第1号。後半に右足で2発、左足で1発をたたき込んだ。続く広島戦では激しい雨の中で自在にピッチを動き回った。開始10秒でドリブルから右足シュートを突き刺すと、前後半に2ゴールずつをマーク。鋭い予測、感覚で相手ボールを奪うと、緩急を生かしたドリブルで立て続けに相手ゴールに迫った。

 「今日は勝つことを意識せず、楽しみながらゲームができました」。1次リーグということで緊張感はなし。ニコニコ笑いながらプレーした。広島戦では相手DFの頭上を超えるループボールを蹴ってダッシュし、自らそのボールを足元に収めてシュートを狙うミラクルプレーでピッチを囲んだ観客を驚かせた。

 昨年の大会は決勝で敗れたものの、フィジカルで圧倒的に上回る男子選手に囲まれながら6試合で10ゴールを量産した。それから1年間で苦手だった左足シュートにもパワーと精度が備わり、直線的だったドリブルにもスピードとコースの変化が加わった。女子日本代表としても2月のアルゼンチン選抜戦で6ゴールをマークし、7-3の勝利をもたらしている。

 2試合で8ゴールは昨年の量産ペースをはるかに上回る。「今年も10点以上取れればと思ってました。もちろん、絶対に優勝したいです」。女子高生になったばかりのストライカーは、得点王と初の日本一にターゲットを絞っている。

     【小堀泰男】