松本山雅FCのFW前田大然(20)が、ジャカルタ・アジア大会(14日初戦)に参加するU-21日本代表に選ばれた翌日のジェフユナイテッド千葉戦でゴールを決め、早速、結果を出した。

 前田が、50メートル5秒8の快足を飛ばし、稲妻のように右サイドを切り裂いた。1点を追う前半45分、前田はMF岩上祐三(29)が右後方から蹴ったロングボールに猛然と走り寄った。先に反応して走った千葉DF近藤直也を右から軽く抜き去ると、近藤を倒し、そのまま迫るDFとGKを冷静に見切って左足で決めた。「ずっとゴールが取れていなかったので、取れて良かったです。自分の持ち味を出せたシーンだった」と、6月30日のロアッソ熊本戦以来、6戦ぶりとなる今季5点目を喜んだ。

 反町康治監督(54)は「大然が速いと言うよりも、近藤直也がちょっと大然のスピードをなめていたのかも知れませんね。我々は、大然と2秒の差があったら、50メートルで勝つことが出来る力がある。武器を使わない手はない。よく決めました」と評価した。その上で「代表に選ばれた自信が出てくると思うし、後半、足が痛くてアジア大会、無理だなと思ったけれど、立ち上がったので快く送り出さないと思っていますけど」と笑った。

 前田自身、代表入りが「刺激になった」と認める。この日は日本サッカー協会(JFA)の関塚隆技術委員長が視察に訪れた試合で、名刺代わりの1発を決めたが、「自分では最近、思っていたプレーが出来ていなかった。スピードを生かすプレーは研究されて、「違うところで勝負しないと、模索していてうまくいかなかったのかも…まだまだ。徐々にやっていきたい」と手綱を引き締めた。

 2020年東京オリンピックに出場したいと、公言してきた。アジア大会への抱負を聞かれると「FWなんで、ゴールを取れれば勝てる。こだわっていきたい」と口にした。アジア大会メンバーには、年代のエースと目されるジュビロ磐田FW小川航基らが選ばれていないが、前田は「FWなんで、どれだけすごい選手がいようが、ゴールを決め続ければ代表に入り続けると思うので、ゴールだけ狙ってやっていきたい」と固く誓った。

 その言葉の裏には、3月にパラグアイで開催された南米・日本U-21サッカー交流大会で3-3で引き分けながら自身は2ゴールを決めた、ベネズエラ戦がある。前田は「あそこで2点、取れていなかったら多分、自分は選ばれていなかったと自分では思っているので、取り続けるのが大事」と力を込めた。【村上幸将】