大宮アルディージャから期限付き移籍し17日に合流したMFカウエ(29)が、アルビレックス新潟での“実戦デビュー”を果たした。新潟医療福祉大を相手に60分間フル出場し、的確なパスと手堅い守備を披露。5連敗中のチームの救世主になろうと、第30節アビスパ福岡戦(26日・デンカビッグスワンスタジアム)への出場をアピールした。試合は3-2で新潟が勝利した。

 ボランチに入ったカウエはすでにチームになじんでいた。「ダイチャン(坂井大将)!」「ユウタ(伊藤優汰)!」と覚えたてのチームメートの名を呼んで、中盤の底から指示を出す。

 プレーでも役割を果たした。相手ボールを刈り取ると、サイドにロングパス。サイドハーフ、サイドバックの突破を促す。「中盤の4人で連動してプレーするように」。ハーフタイムに片渕浩一郎ヘッドコーチ(43)が出した指示にもすぐに応えた。センターバックの前でボールを奪い、前線に送る。スペースがあるときにはドリブルで持ち上がる。「順応性が高い」。片渕ヘッドコーチは即戦力として太鼓判を押した。

 カウエは「今日は試合ができたことが良かった」と、チームメートとともにピッチに立ったことを手ごたえにした。大宮では今季、リーグ戦出場はゼロ。天皇杯2試合に出場しただけ。試合感覚を確かめる場が必要だった。

 17日に新潟に合流し、18日はアウェー大宮戦の遠征外メンバーとともにクラブハウスで汗を流した。まだチームメート全員の中でプレーしたことはない。それでも魅せる。「経験は自分の強み」。16-17年にポルトガルのトップリーグに所属するモレイレンセで33試合に出場。引き出しは多い。

 チームは現在19位で5連敗中。勝ち点の積み上げが急務だ。1-2で敗れた大宮戦はテレビ観戦した。「守備はいいところもあった。攻撃は、相手をもっとクリエーティブにかわさないと」と要点はチェック済み。「自分のできることをしっかりやる」。その最初の場を福岡戦に定めている。【斎藤慎一郎】

 ◆カウエ 1989年5月24日生まれ、ブラジル出身。ブラジルのECサント・アンドレでプロデビュー。その後、ポルトガル、ルーマニア、アゼルバイジャン、イスラエルでプレー。16-17年はポルトガル・モレイレンセでカップ戦優勝に貢献。17年7月に大宮に移籍し、昨季はリーグ戦14試合出場1得点。188センチ、86キロ。背番号32。