北海道民を元気づけるためにも、勝利を届ける! 北海道胆振東部地震の影響で練習を中止していた北海道コンサドーレ札幌は8日、札幌・宮の沢で練習を再開した。ミハイロ・ペトロビッチ監督(60)は「勇気、希望を持ってもらえるようなプレーを見せること」と、被災者に向けた「約束」を表明。4位につけているチームは、使命感を胸に、さらなる躍進を狙う。

午前10時7分。札幌の選手がグラウンドに姿を見せた。クラブハウスでミーティング後、7日ぶりにそろってホームの芝生に立った。ランニングからスタートするのはいつもと同じ。ただ、走りながら交わす会話は震災の話が占めていた。震災後に風景は変わってしまったが、自宅のライフラインはほぼ復旧している。再会を喜び、笑顔もあった。ペトロビッチ監督も「1週間ぶりに選手と顔を合わせられてうれしかった」と話した。

自らも被災者となった。だが、北海道のクラブとして、明るいニュースを届けたい。指揮官は「チームとしてできることは、勇気や希望を持ってもらえるようなプレーを見せること。試合を見ている間だけは置かれている厳しい状況を忘れていただけるような試合を」と約束した。現在4位。初のACL出場圏内(3位)に迫る。さらなる躍進で北海道民に元気を与えるつもりだ。

選手もできることを思案している。避難所生活が続く被災者もいる。FW都倉は「避難所生活が長くなれば日常に刺激もなくなると思うので、来るべき時に訪問だとか交流ができたらと勝手に思っている」と言った。神戸時代の11年、東日本大震災後に物資を支援した。だが、輸送面などで被災地に届かない問題も発生した。その経験から、冷静にタイミングをうかがうつもりだ。

サポーターにとっては、選手の無事が何よりもうれしい。いつもは一般公開される練習が、この日は安全確保のため非公開。観客席は開放されなかったが、練習再開を喜ぶ50人以上が遠巻きにグラウンドを見つめていた。仕事後に駆けつけた45歳の女性会社員(札幌市)は「入れなくて残念だけど、選手も元気そうで良かったです」。チームは次節15日アウェー川崎フロンターレ戦までオフなしで調整する。ピッチで躍動する姿が、激励となる。【保坂果那】