首位の川崎フロンターレが連覇へ価値あるドローだ。3位鹿島アントラーズと0-0で引き分け、2位サンフレッチェ広島と並んでいた勝ち点を57とした。前半38分、エースFW小林悠(31)がPKを失敗。後半は流れを失いかけたが、リーグ最少失点を誇る堅守で、ゴールを死守した。3連勝中だった鹿島の勢いを止め、残り5節は勝ち点1差の広島との一騎打ちになる。たくましさを増した川崎Fが、連覇へ前進した。

阿部の退場で10人になった後半ロスタイム。川崎Fはセットプレーに強い鹿島の3本のコーナーキック、ロングスローの猛攻をしのぎ、勝ち点1をもぎとった。前半、PKを含む2本の好機を逃したFW小林は「決めていれば楽になったし勝ち点も積み重ねられた。チームには申し訳ない」としながらも、アウェーでの引き分けに「すごくポジティブにとらえている」と振り返った。

17年元日の天皇杯決勝。鹿島にCKで先制され、延長戦ではロングボールからのルーズボールを押し込まれ優勝を逃した。小林、DF谷口が口をそろえたのは「鹿島との差は、練習から数センチの球際の厳しさを求める差」。鬼木監督の下、球際で戦う姿勢、ボールを取られたらすぐに複数で奪い返す速い攻守の切り替えを徹底した。練習では、激しく守備にいかない選手が浮くまでになり、現在は、優勝した昨季を上回るリーグ最少失点(21失点)、リーグ最少の被シュート数(191本)を誇る。スキを見せず、相手に好機を与えない泥臭い姿がチームをたくましくした。

アウェーの洗礼で、ピッチに水がまかれず、パスサッカーが発揮できない逆境にも動じなかった。川崎一筋16年目のMF中村は「僕自身が長い歴史の中で、今までのうちだったら最後のセットプレーでポンとやられるというのを繰り返してきたところもあるので。タフさも球際の強さもすごくついたと思う」と10人での勝ち点1に手応えを口にした。DF奈良は、相手のカウンターをファウルで止めたMF阿部に「自分を犠牲にしてチームを救ってくれた」と感謝し「そういう選手の思いをしっかりチームのパワーにして、次戦に備えたい」。勝負強い王者の風格を増した川崎Fが、連覇へ前進した。【岩田千代巳】